その境界線が見えずに踏み出すと
そこはいつよりどこより奇妙な現世なり。
こんばんは、伊達です。
今も左肩に残る指先の感覚やぬくもりがリアルで
1日に何度もそこをさすってしまう。
彼が私の肩を抱き寄せたのは昨日の話だ。
私は仲間達といつでも仕事に取りかかれるよう
万全の状態をととのえていた。
現場は某局内。
今日は生放送ということもあり、
ピリピリと緊張した空気を打ち消すように
みんなバタバタとそこら中を走り回っている。
カンペの作成、進行表の準備、
ナレーション原稿の確認に、最終打ち合わせ…。
まもなく開始だというのに
やることはまだまだ山ほどある。
私も今日はいつもとは違ってサポートにまわる立場。
生放送で、決してミスはできないと言うプレッシャーと
まわりの人々が織り成す緊張の渦に飲み込まれないように、
自分のやるべき事を手の甲に書き出すことだけで手一杯だった。
今日はきっと、
あの人も見ているんだ。
それを考えると、
手の甲にまで汗をかいてしまいそうだ…。
開始30分前。
本日の主役、彼の登場だ。
「おはようございます。」
みんな手をとめて彼に深々と挨拶をし、忙しく仕事に戻る。
それに私も例外なく従う。
彼はひとりひとりに軽く挨拶を返すと、
ゆるんだネクタイを上まできっちりしめて
ドッカリとイスに腰を下ろした。
「緊張するなぁ。」
と、彼は言ったがそんな風には見えない。
実に主役らしい立ち振る舞いだった。
開始5分前。
私は彼に挨拶をしにいく。
「今日サポートさせていただきます伊達です。
どうぞ宜しくお願いします。」
彼は持っていたミンティアをチャッチャと手に出し、
ひとつ口に放り投げ
「宜しくな。」
と、笑顔で手を差し出した。
握ったその手は想像していたよりずっと熱かった。
本番開始。
無事に生放送スタート。
まずは、局内の施設紹介から。
彼はマイクを持ちながら、
施設にある乗り物や遊具に触れて
丁寧且つ面白く説明をしていく。
プロの仕事にみんなから笑いが漏れ、
それをみて私も安心する。
いよいよ、私の出番だ。
機械操作に手間取る彼の横につき
落ち着いて操作について説明をする。
…はずなのに。
ここにきて手の震えが止まらない。
進行を止めるわけには行かないのに、
どんどん頭の中が真っ白になる。
すると、私の右手が熱いものに包まれた。
とっさにからだを離してしまう。
…手を、握られた?
混乱しているせいか、視界が悪い。
目の前の景色がぐるぐる回って
まともに立っていられない。
まわり狂う景色に、
誰かが慌てて『続けろ』と指示を出しているのが見える。
続けろったって、一体どうすれば…。
「そうやで。」
遠退きそうな意識の中で、
ふっとミントが香る。
「よく分からんかったから、
もっぺんちゃんと説明して。」
彼の声だった。
その声が私に届いたのをきっかけに、
徐々に視界がクリアになっていく。
私はいつの間にか、
完全にからだを彼に預けていた。
彼はぎゅっと肩を抱き
「大丈夫。」
と、私にしか聞こえない声で囁いた。
そこで完全に意識を取り戻した私は
彼から離れようとするがそれを許してはくれない。
今は生放送中、変に抗う訳にはいかない。
何より、彼は助けてくれたのだ。
この、私を。
今くらいは、その優しさに甘えてしまっても
罰は当たらないか…。
そう思い、ふと顔をあげたその時。
ドクン、と心臓が熱く跳ねる。
見知った人たちの顔の中に、ひとつの違和感。
あの人だ。
今日はきっと、
テレビで放送を見ているはずの
あの人が
見ている。
何故、ここに…?
冷めた表情のあの人は
にっこりと私に笑いかけ
そしてすぐに人影に消えた。
待って。
これは違うの。
ねえ、待って。待ってったら!
って。
夢を見たって日記です。
マジびびったー何だよこの夢!
ちなみに、
彼が有野さん、
私が新人ADさん。と言う夢。
これを
「課長と不倫した夢を見た」
と表現した私はどうかしてる。
しかし。
文才がないって凹むなー!なんだこの三文小説!
もっと本読まなくちゃなーむむむ。
写真は
昨日昼間に撮ってもらった写真!
間違って試し撮りのを印刷しちゃった。目が死んどる。
