はじめて知ったのは「K-1」をテレビで観たときだから、そうそう偉そうなことは言えない。ムエタイで活躍していた彼をオイラは知らない。



 はじめて彼を見たとき、衝撃が走った。


 あんなにもストイックに戦いを考え、その背中がとても大きく感じた。



 その頃からすでに片目が見えていないなんて信じられなかった。少し頭をかしげるファイティングポーズはそのせいだったと、後になって知った。


 いつも、倒すか倒されるか!の壮絶な戦いだった。


 今日の引退試合、相手はクラウス。



 武田選手の右目の光が消え、うつろな視線が宙を舞った時、オイラは涙が止まらなかった。



 彼の戦い、戦う姿勢。



 ずっと忘れることはないだろう。




 間違いなく「武田幸三」は、オイラのヒーローの一人だ。




 生きて、家族のもとに帰ることができて良かった。本当に良かった。