今日、ある人は「いくつかの場面」を思い出しただろう。



 出会い。



 心弾む気持ち。



 二人の時間。



 決意。






 新しい命。



 家族。




 生活。




 喜び、悲しみ。



 

 そのいくつかの場面も、もう増えることはない。



 重ねていくことができない。






 そのある人の涙を見たとき。


 声にもならない「最後の語りかけ」を聞いたとき。




 



 自分の心が揺さぶられた。



 自分の大切な人を抱きしめたいと思った。





 今日の「日の出」は午前7時ころだった。


 吹雪の中、灰色の空のむこうにオレンジ色の朝日がぼんやりと、昇った。




 すごく寒い一日だった。