構造変化
ドラッカー先生によれば、既に起こり、後戻りのないことであって、10年後、20年後に影響をもたらすことについて知ることは大いに意味があるらしい。彼の論文では、そのようなこととして、人口構造の変化を挙げている。
僕にとって、そのようなこととは、弁理士の増員政策なのかもしれない。
予測
巷では、弁理士の増加が、競争の激化を招くと言われているが、僕は、そう単純なものではないと思っている。特許事務所の数が増えたという話をあまり聞かない一方で、人員削減や閉所の話をよく聞くからだ。
弁理士の増員は、特許事務所で働く補助者から弁理士へのクラスチェンジと企業内弁理士の増加を意味しているのではないだろうか?補助者から弁理士へのクラスチェンジは、望ましいことだと思う。以前のように、多くの明細書が補助者の手によるものという状況よりは、ずっと正常な状態だと思うのだ。
企業内弁理士と特許事務所の弁理士との競争もあまり成立しないと思う。企業内弁理士と特許事務所の弁理士とは、期待されている役回りが違うと思うからだ。企業内弁理士の明細書作成は、彼らに期待される多種の業務のうちの1つに過ぎないのに対し、特許事務所の弁理士は、明細書作成が主業務である。
企業内弁理士の増加は、特許事務所が出力する明細書の良否の判定精度を向上させるだろう。
彼らは、国内のみならず外国の法制度を含めて、総合的な知見の下の判定をすることができる。
結論
弁理士の競争の激化の1つの因子として、企業内弁理士の増加に起因する明細書の良否判定の精度の向上が挙げられる。企業内弁理士が作成する明細書と有意差が見いだせない明細書しか作成できない特許事務所の弁理士は淘汰されるのだろう。企業内弁理士が作成できるレベルであれば、わざわざ特許事務所に依頼せず、自ら作成すればよいだけの話だから。
当たり前の結論だけど、やっぱり「クオリティの向上」が生存競争のカギなんだろう。
ボトムラインは、はっきりしたので、ボトムラインに対して、どれだけ加点できるか。
そのことを意識しながら仕事をしていこう。
結局、増員に反対しているのは、「バッチ」で食えなくなることを恐れている大先生方なのではないだろうか?