NASとは、ネットワーク上で接続するハードディスクです。複数のパソコンやタブレット、スマホでデータを共有するファイルサーバーとして使われます。昨今では、会社や家庭で設置している方も多くいらっしゃいます。とっても便利なのですが、その動作についてはブラックボックスなところが多くて、以外に知らない落とし穴が潜んでいます。

そんな落とし穴にハマり込んだ、社内でひとりだけで情報システム管理を担当している本当は庶務係の方のお話です。

5年前に会社全体のデータ共有のため、データ容量3TB(1TB×4ドライブをRAID5で運用)のNASを導入しました。NASには社員全員がアクセスできるようにしました。各部門別の共有フォルダを作成し、その中にはその部門に所属する各社員のフォルダを作成し、みんなで使えるシステムにしました。

導入から5年間、全くメンテナンスなどしなくても支障なく動作していました。が、ある日、NAS本体のステータスが赤くなっていました。そこで庶務係さんが、NASを確認したところ、もうすぐ満杯になるという警告が出ていました。データを保存できなくなってしまうのはマズイと思い、取り急ぎ空き容量を増やして、その場を凌ごうと考えました。不要ファイルを削除し、古いファイルをZIP圧縮しましたが、意に反して、空き容量は増えず、逆に減ってしまいました。

そうこうしているうちに、NASの動作が怪しくなりました。

各部門の共有フォルダのファイルは見えますが、ファイルを保存することができません。保存されているファイルをダブルクリックしても、開きません。庶務係さんのところに、会社のいろんな部門からクレームが殺到しました。

ひとり情報シスの庶務係さん、社内で他に相談できる人もおらず、途方にくれて、私が務めるデータ復旧会社にNASを持ち込みました。

5年使ったNAS、とうとう逝ってしまったのでしょうか?

早速NASをお預かりして診断を行いました。
診断結果は、異常なし。

NAS内のハードディスクには不良セクタもなく、論理障害も物理障害も見られません。NASの電源を入れて稼働させたところ、ネットワーク上に正しく認識され、ファイルにアクセスできます。

では、なぜNASの動作は不安定なのでしょうか?

このNASの空き容量は、0%。完全に満杯の状態でした。
その状態では、ファイルは保存できません。ファイルをダブルクリックしても開かないのは、アプリがテンポラリファイルを作ろうとしてエラーになるからです。ちなみに、必要なファイルをNASからパソコンにコピーすることは可能です。

この状態から復活するには、NASの空き容量を増やす必要があります。
あれ? 庶務係さんは、満杯になる前に、不要ファイルの削除と、古いファイルのZIP圧縮をして、空き容量を増やそうとしました。 しかし、どうしても、空き容量が増やすことができませんでした。 どうしてでしょう?

パソコンでファイルを削除すると「ごみ箱」にファイルが移動します。パソコンの場合は、「ごみ箱」の容量が決まっていて、「ごみ箱」がいっぱいになると、古いファイルから順に「ごみ箱」から消去されます。

NASの共有フォルダにも、「ごみ箱」(Trashbox) が標準で搭載されています。が、ここにNASの落とし穴があります。

NASの「ごみ箱」は、一般に容量が決まっていません。ファイルを削除すればするほど、無限大に肥大化します。(Windows Serverなどでは、ごみ箱の容量を設定し、いっぱいになると古いものから自動的に削除する機能があります。)不要なファイルを削除しても、ただTrashboxに移動するだけで、データ容量に変化はなく、空き容量が増えることはありません。

そしていつか空き容量がなくなり、NASの動作が不安定になるのです。

NASを使っている方は、年に数回は「ごみ箱」を空にする作業が必要なのです。

そういう訳で、庶務係さんのNASの「ごみ箱」には、5年間溜めに溜めた削除ファイルが残っていました。その量実に1.5TB。NASの容量の約半分がゴミで埋まっていました。

私が勤めるデータ復旧会社では、お預かり機器に異常がない場合には、その旨を正直にお知らせして、無料でお返ししています。
庶務係さんには、ファイルを削除するのではなく、「ごみ箱」を空にすれば、NASは正常に動作します。と説明し、NASをお持ち帰り頂きました。(あ~ぁ またタダ働きだよ。)

そして、ひとり情シスの庶務係さん、NASのマニュアルを調べて、「ごみ箱」を空にしたところ、1.5TBもの空き容量を確保できました。これで、あと5年はこのNASを使えるかもしれないと、ご機嫌でした。

めでたし、めでたし。

かと、思いきや、庶務係さんには、その後、とんでもない災難が降りかかってきました・・・ その顛末は、次のブログで。

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