某データ復旧サービス会社の現役のデータ復旧エンジニアです。 大切なデータにアクセスできなくなった多くのお客様の記録メディアをお預かりし、障害の診断をし、復旧までを行っています。

 

このブログは、私が所属する某データ復旧サービス会社とは まったく関係ありません。一般の方がデータ復旧サービス会社のお世話にならないために、書き始めました。また、復旧サービスを頼まなければならなくなった時に、安全なデータ復旧サービス会社を選定する目安になればと思います。

 

本日の本題

 

外付けハードディスクから別のハードディスクへデータを引越しする際の失敗例 です。

(ChatGPT AIで漫画にしてみた編)

 

パソコンを使い始めの時は「マイ ドキュメント」とか「デスクトップ」にデータを保存しますね。その内、パソコンに内蔵の記憶領域では、容量不足。すぐいっぱいになってしまいます。そこで、外付けのハードディスクにデータを移します。

そこもいっぱいになると、もっと大きい容量の外付けのハードディスクを買ってきて、データを引越しします。

 

そんなハードディスクのデータの引越しを繰り返した町の印刷屋さんの失敗例です。

 

顧客から預かったカタログやチラシ、ポスターや名刺などの印刷データを4TBの据置型外付けハードディスクに保存していた。ある日、いつも通り印刷データを外付けハードディスクに保存しようとすると「ディスク領域不足」のメッセージが表示された。そこで新品の8TBの据置型ハードディスクを購入し、すべての印刷データを引越ししようと考えた。

 

 

自分の事務机では手狭なこともあり、臨時に会議机を持ってきて、ノートパソコンと据置型ハードディスクを2台配置した。電源タップを1本用意して、ノートパソコンと2台のハードディスクの電源を取った。ノートパソコンと2台のハードディスクをUSBケーブルでつなぎ、パソコンを起動した。4TBのハードディスクがDドライブ、8TBのハードディスクがEドライブに見えた。

 

 

Dドライブの全てのデータを選択し、「切り取り(カット)」、次にEドライブに「貼り付け(ペースト)」した。

 

 

「貼り付け」は順調に進んでいたが、なかなか終わらない。

 

様子を見ようと思って、パソコンを覗き込んだ時だった。電源を取っていた電源タップに足が引っかかり、

「プツッ」。壁のコンセントから電源タップが抜けた!

 

 

ノートパソコンの電源は、バッテリーに切り替わって無事だった。しかし、2台の据置型ハードディスクは電源が切れてしまった。「貼り付け」の作業は、エラー画面が出て中断。エクスプローラからDドライブ、Eドライブが消えていた。

 

慌てて壁のコンセントに電源タップを入れ直した。エクスプローラからDドライブ、Eドライブが表示されたが、アクセスするとエラーがでた。

 

 

古い4TBと新しい8TBのハードディスク両方とも、パソコンからアクセスできなくなってしまった。

 

 

大事なお客様の印刷データ、取り返しのつかないことをしてしまった! と印刷屋さんは頭を抱えた。

そこで、2台のハードディスクを私の勤めるデータ復旧会社に持ち込んだ。

 

 

2台のハードディスクを診断した結果は以下の通り。

 

4TBのハードディスク 診断結果 中度の論理障害

・USB機器の安全な取り外しをしない状態でパソコンとの接続が断たれたため、ファイルシステムに軽度の障害が見られる。

・カット&ペースト中の電源断により、重要データの一部が「削除」されている。

ほぼすべてのデータは復旧可能。ただし、本件より以前に削除されたデータも一緒に復旧される。

 

新品の8TBのハードディスク 診断結果 軽度の物理障害

・データを書き込み中の、電源断のため、磁気ヘッドがデータ記録面の磁性体に衝突し、不良セクタが発生している。

・不良セクタ以外のクローンデータの取得に成功。

・途中まで書き込まれたデータを復旧は可能

ただし、このハードディスクは不良セクタが生じており、再利用不可。

 

では、この方は、どうしたら良かったのでしょう?

 

1.ハードディスク間の大量データの引越しには、「切り取り」&「貼り付け」(カット&ペースト)を行ってはいけない。
「切り取り」&「貼り付け」(カット&ペースト)は、ファイル1つ1つをコピー後、コピー元データを削除する それまでが一連で実行されます。長時間におよぶ操作では、予期せぬトラブルが発生する危険が高くなります。パソコンがフリーズしたり、停電があったり、どちらかのハードディスクの障害で止まってしまったり。「切り取り」&「貼り付け」が正常に終わらなかったとき、ハードディスクに障害が発生していなくても、どこまで実行されたか判らないため、リカバリが難しくなります。

 

「切り取り」&「貼り付け」ではなく、「コピー」をしましょう。

 

コピー後にコピーがちゃんとできていることを確認した上で、元データをどうするか考えましょう。

可能であれば、元データは削除せず、そのままその日までのバックアップとして保管することをお勧めします。

 

2.大事なデータをコピーする際は、安定した安全な環境で実施すること。

ファイルのコピーには1TBあたり2時間ぐらいの時間がかかります。4TBなら、8時間程度は見込まれます。仮の場所で作業する場合は、長時間にわたりパソコンを安定稼働できる場所を確保してください。電源、USBケーブルなどは手足を引っかけて、事故が起きないように配線してください。また、夜間や土日祝日にバックアップ作業を行うのも一つの手段です。

パソコンの「電源とスリープ」設定で、スリープしないようにすることもとっても大事です。
 

3.日ごろから、バックアップを行いましょう。

この方の場合は、日ごろからもう1台のハードディスクを用意し、バックアップを行っていれば万全でした。4TBのハードディスクから8TBのハードディスクへのコピーが失敗しても、バックアップがあれば大事な印刷データを失うことはありません。日々のバックアップでは、更新されたファイルだけがコピーされるので、短時間で終わります。Windowsの標準機能のバックアップも良いですし、市販ソフトにも優秀なものがあります。日々のバックアップを習慣にしましょう。

 
で、この印刷屋さんの場合、古い4TBのハードディスクのみデータ復旧し、ほぼすべてのデータが復旧できました。
真新しい8TBのハードディスクは、復旧キャンセル。復旧したところで4TB側と同じデータで、しかも途中までしかコピーされていないので全データではない。さらに、物理障害で容量が大きく、復旧費用もお高くなり、・・・ でキャンセルです。(まぁそうだよね。タダ働き つらい)
 

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