そんなの初めて
ここだけの話をしよう。1ヶ月前くらいの話なるんだが、別れた。なんてあっと言う間の交際期間だったんだ。3週間か!もはや付き合っていないと言ってもおかしくない。だってショックとかそういうのないんだから。
付き合ってから3週間後くらいに彼女に会った。一緒に料理をするという素敵なデートだ。一緒にスーパーで食材を選び、これがイイあれがイイだの言いながら。あ~こんな経験大学の時にしとけばよかったなと思いつつも今こうして目の前の事を楽しんでいるのだから問題ない。
彼女の家はすごく片付いていて無印感のある落ち着いたお部屋。ひさしぶりの再会にたくさん話しながら彼女が「そろそろ料理始めるね」と。そうかそうかと。「キッチン狭いから出来上がるの待ってて」と。そうかそうかと。部屋と部屋の仕切る薄いドアの向こうからトントントンと聞こえてくる。彼女は栄養士。1枚扉を挟んだ奥から聞こえる音を楽しみながら俺はテレビを見ていた。
カレーのいい匂いがしてきた。そろそろだ。彼女がテーブルにクロスを敷く。カレーだけではないサラダもある。食べた。美味しかった。これが栄養士の料理。美味しかった。食欲は満たした。2人でテレビを見ていると彼女がこう言うんだ。「まだ好きかどうかわからない」
「そっか・・・」これがもし3ヶ月程経過した後ならば「んん・?」となるんだが1年ぶりに飯行って3週間しか経っていない。彼女との思い出もない。「そっか・・・」しかねぇ。ましてなぜか俺は「まだ好きかどうかわからない」と言われ全力でセンスのいい返しを!と頭の中をフル回転させ出てきた言葉が「そっか・・・そんなの初めて。」この1ヶ月で「こんなの初めて」「そんなの初めて」を経験してしまった。
あれ待てよ、よく考えてみればあの彼女が作ってくれたカレー美味しかったけどダマが結構あった。そうか、きっとその時から「あ~作るのめんどくさ」と思っていたのか。あれ待てよ、よく考えてみたらあの一枚の扉はもしかして俺と彼女の空間を遮断するための扉だったんじゃないか?
そんな事を考えながら彼女いや違う、元カノ。でもないか、なんせ3週間だしな。女の子の寝顔を見て、ふと「なんで俺はココにいるんだろう」って思ったよ。
データ石浜