ポケモンシールの恋

小学校5年くらいだろうか。ポケモンシールというもが流行ってた。これ。


パンを買うと必ず一枚入ってて下敷きやクリアファイルに貼るのが定番だった。「おれ、リザードン持ってる」「カイリュウいいだろ」なんて言いながら…しばらくポケモンシールでクラスが回っていた。

当然、私データ少年もこのポケモンシールを集めまくっていた。20枚程クリアファイルに貼っていた。揃えば揃うほど、集まれば集まるほど、嬉しかった。自分が欲しいポケモンシールを持っている人を見つけたら自分のシールを見せて交換してって、そうやって自分のポケモン世界を楽しんでた。

その中で唯一、交換しようと言われても断っていたシールが一枚だけあった。「ピカチュウ」だ。
対して強くもない、可愛いだけのネズミ(?)。しかし単なるピカチュウではない。当時クラスにいた好きな子と交換して手に入れたピカチュウだ。データ少年からしてみれば、ミュウより、サンダーより、カメックスより、この「ピカチュウ」は特別だった。最強だった。オレ自身も最強だった。これがあれば元気が出た。

オレは予感していた。この子はむちゃくちゃ可愛い。きっとアイドルになるんだ。そうだきっとそうに違いないと。そして大人になった時、この「ピカチュウ」覚えてる?と聞こう。そしたら彼女も当時交換した時にデータ少年が渡した「イーブイ」のシールを見せ「これ覚えてる?」と。

小学校5年、データ少年はその時から未来を妄想していた。それから10年……

データは大学生になっていた。ある日、携帯がなった。名前を見て驚いた。そう、小学校の時に恋していた、アイドルになると思ってた、あの子からだった。もしかしてマジでアイドルに…だいぶ年月が経っていたから彼女に対する恋愛感情はすでに全くなく、あんな事あったなぁ~と懐かしい過去の出来事を思い出しながらメールを開いた。


「人生って楽しい?」


……えっ?


大学生データは言葉を失った。小学校の時に好きだったあの子から、信じ難いメールが届いたのだから。きっと相手を間違えたのだろう。オレは冷静に

「どうしたの?」

と返信した。もし彼女がオレの返信を見て、送る相手を間違っていたなら「ゴメンね!間違って送っちゃった!気にしないで」みたいな返信が来るはずだから。むしろそう返ってきて欲しいと願った。


「なんのために生きてるか分かんない」

彼女の送り手は、間違いなくオレだった。



データ石浜は、眠さに負けてここで書くのを辞めて寝ることにした。

データ石浜