今回は、EV論争を「賛成/反対」みたいな話にせず、投資判断に使える“現実の見方”に落とし込む回です。
結論はシンプルで、勝敗を分けるのは「EVかどうか」よりも、電池の制約下で“どう配り、どう稼ぐか”。
つまり、電池の使い方(資源配分)がカギになります。
※本記事は学習・一般情報目的であり投資助言ではありません。数値や具体データは撮影直前に一次ソース(各社IR・決算資料等)で更新し、動画内で出典と期を明記します。
※図解・台数比較は概念理解のためのイメージで、前提条件で結果は変わります。
先に結論(3行):「EV一択」で株を評価すると見誤りやすい
- EVが伸びるのは前提でも、「EV一択」で企業を評価すると見誤りやすい
- 勝敗を分けるのは電動化そのものより、電池の制約下で“どう配り、どう稼ぐか”
- 見るべきは ①利益が残る設計 ②投資を続ける体力 ③稼ぐ→投資→次の勝ち筋の循環
1)なぜ「EV一択」は危ないのか:議論がズレるポイント
“普及=勝ち”ではない
EVが普及しても、企業の評価は分かれます。
利益が残らないEV(値下げ・コスト高で赤字化しやすい)と、利益が残るEV/電動化(価格・コスト・商品戦略で吸収できる)があるからです。
だから「BEV台数が増えた/減った」だけで判断すると、肝心の企業体力を見落としがち。
勝敗を左右するのは「制約(ボトルネック)」
EV局面の制約はざっくり電池/価格/インフラ。
この3つのうちどれが効いている局面かで、正しい戦い方は変わります。
- 電池:供給量・コスト・品質・素材・製造能力
- 価格:補助金、値下げ競争、残価(中古)、電池価格変動
- インフラ:充電網、電力事情、充電体験(待ち/時間/設置)
2)視界が変わる一言:「電池の資源配分」
「電池100kWhの使い道」という発想
同じ電池総量(例:100kWh)があるとして、配り方で世界が変わります。
BEVは1台に大きく配る。PHEVは複数台に中くらい。HEVは多数台に薄く配る。
重要なのは、ここが“正解が一つ”の話ではないこと。局面(制約)により最適が変わる点です。
※「BEV 1台 vs PHEV 6台 vs HEV 90台」はあくまでイメージです。電池容量、走行条件、電源構成、燃費/電費、使用地域などで比は大きく変わります。
CO2削減も“1台あたり”ではなく“総量”で見る
BEVは1台あたり削減が大きい可能性がある一方で、投資判断では
普及台数 × 走行距離 × 電力のCO2係数 × 電池供給制約
の掛け算で「社会全体の削減“総量”」の見え方が変わります。
ここが資源配分の核心:限られた電池をどこに配ると“総量”に効きやすいかという問いです。
3)トヨタEV戦略の見方:「電池の使い方」がカギ
“電動化=BEVだけ”ではない(まず整理)
電動化はBEVだけではなく、HEV/PHEVも含む広い概念です。
トヨタの特徴は「どれか一択」ではなく、市場・インフラ・規制に合わせて配り方を変えられる点にある、という整理になります。
勝ち方が別物:見るべきは「稼げるか/投資が続くか」
EV局面の勝ち=BEV台数競争、だけではありません。重要なのは、
- 電池制約下で市場を取りに行けるか
- 価格競争下でも利益を残せるか
- 次の技術(電池/ソフト)に投資を続けられるか
4)「マルチパスウェイ」の強み/弱み:評価が割れる理由
強み:逆風に強い(全損しにくい)
ある方式が逆風でも、別の方式で稼ぎやすい。地域差にも対応しやすい。
ポートフォリオ的に「どこかが崩れても全損しにくい」構造になりやすい、という強みがあります。
強み:普及スピードが速い局面がある
充電網が弱い/価格に敏感な市場では、HEV/PHEVが受け入れられやすい局面があります。
ここは“総量で効く”(台数が伸びる)可能性があるポイント。
弱み:テーマ相場では“遅い”と見られやすい
EV期待が強い局面では「BEV台数」が評価軸になりがち。
その結果、マルチ路線は「遅い」「出遅れ」と見られるリスクがあります。
ここで重要なのは、株価評価(市場の期待)と事業の実力がズレる局面があるということ。
結局は「稼ぎながら選択肢を持つ」。
稼げる構造があれば投資が続き、次の勝ち筋も作れます。稼げないと投資が止まり、競争力が落ちやすい。
5)次世代電池(全固体)は“オプション”として扱う
全固体電池は「航続距離」「充電体験」「安全性」など改善方向が期待される一方、
量産・コスト・耐久・品質・供給網が壁になりやすく、時期は不確実です。
投資的には「確定未来」ではなく、上振れのオプション価値として扱うのが現実的。
6)買い判断の型:EV局面での自動車株チェックリスト
① EVが伸びても「利益が残る設計」か?
- 値下げ競争でも利益率が崩れにくいか(価格×コスト×ミックス)
- 電池価格・素材価格の変動を吸収できるか(調達・設計・SC)
- 補助金縮小・規制変更でも耐えられるか(地域分散・商品分散)
逆風で赤字化する会社は要注意、が基本線。
② 電池・ソフト投資を続けられる体力があるか?
- 研究開発・設備投資をしても資金繰りが回るか
- 投資の優先順位が明確か(電池、ソフト、製造、SC)
- 投資が将来の稼ぐ力につながる設計か
③ 「稼ぐ→投資→次の勝ち筋」の循環が回るか?
強い企業は、利益 → 投資 → 商品競争力 → 利益の循環が回ります。
逆に回らない企業は、利益が出ない→投資が止まる→商品が弱い→さらに利益が出ない、になりやすい。
まとめ:EVか否かより「制約」と「電池配分」を見よう
- EVか否かより、制約(電池/価格/インフラ)のどれが効いているかを見る
- 電池の資源配分で“総量”と“現実解”を捉える
- 投資判断は 利益が残る設計/投資体力/循環 で見る
- 全固体は確定未来ではなく、不確実なオプションとして扱う
用語ミニ辞典(置いてけぼり防止)
- BEV:バッテリーのみで走る電気自動車
- HEV:エンジン+モーターのハイブリッド(外部充電なしが中心)
- PHEV:外部充電できるハイブリッド(電池とエンジンの両取り)
- マルチパスウェイ:方式を一つに固定せず、市場条件に合わせ複数ルートを使い分ける考え方
- 資源配分:限られた電池(容量・供給)をどの方式・どの市場に配るかという戦略視点
注意(免責)
本記事・動画は一般情報の提供であり、投資助言ではありません。未来の結果を保証するものではありません。
数値・前提は撮影直前に一次ソースで確認し、動画内で出典を明記します。
図解は理解促進のイメージであり、前提により結論は変わります。投資判断はご自身の責任でお願いします。




