18歳で免許を取得して以来、行動範囲が広がり各地の旧車イベントへの移動も楽になった。

しかし、まだ大学生だった自分には車を購入、維持する費用を負担することはできず、父の車を借りて乗るだけであった。

就職後も暫くは父の車を借りては旧車イベントを見に行く日々を過ごしていたが、学生時代と異なり「ある程度まとまったお金」が自由になるのである。自由になる「ある程度まとまったお金」の発する誘惑はすごいものがある。(いつもその誘惑に負けてしまうのでお金がたまらないのであるが…)

この時も誘惑に負け、旧車を手に入れるべく車探しを開始した。

 

まずは対象車両の条件を整理した。

1.現在の路上でも問題なく走れる動力性能を備えていること。

2.補修パーツの確保に苦労しないこと。

3.マニアック過ぎないこと。

4.予算は国産ミドルクラスの新車程度に収まること。(当時250万円程度)

 

条件1から360軽自動車は対象から外れ、条件2~4を踏まえると下のような車が候補となった。

・510ブルーバード

・GTR以外の箱スカ

・縦目グロリア

・逆輸入のフェアレディZ280

・VWビートル

・カルマンギア

・BMW2002

・ボルボ120シリーズ(アマゾン)

・メルセデスベンツ(W123)

時は2000年代前半であり旧車が高騰していなかった当時は、250万程度の予算でも上に列挙した個体が流通していたのである。

上記の条件には上げていなかったが、快適性(エアコン)も考えると、現実的な選択は逆輸入のフェアレディZ280かメルセデスベンツW123が最有力となった。

 

実際に探し始めてみると、逆輸入のフェアレディは玉数が少なく走行距離数も不明扱いのものが多かった。

対してベンツは、正規ディーラー物のワンオーナー整備履歴ばっちりのような個体がいくつか出てくるのである。

写真で見て程度がよさそうな個体を見つけ、実物を見てみようと友人と販売店を訪ねた。

お目当ての個体が用意されており、試乗した結果は期待通りであった。

本来はここで購入申し込みとなるところだったのだが、同じ店先にもう1世代前のメルセデスW115(縦目コンパクト)が置いてあった。

”古いメルセデスに乗るならやっぱり縦目でしょう”という思いがあったが予算オーバーで無理だと思っていたが、その個体はW123よりも安い値段が提示されており、なおかつW114/5系の日本輸入第一号車だというではないか。

その数年前にオールドタイマー誌の「日本に帰化した外国車」というコーナーで取り上げられていた個体らしく、家に帰ってから雑誌を読み返すと確かに同じ個体だとわかる。W115の200でフロア4MTというかなりレアな仕様であるが、エンジンルーム内にはウエスタン自動車のプレートが付いており、正規ディーラー車であることは間違いなかった。

 

予算内で縦目のメルセデスが手に入ることに舞い上がり、外装中、内装中の下、エアコン無し、パワーウィンドウ無し、パワステ無しの無いない尽くしの車であったが、余計な装備が無い分壊れる箇所も少ないと信じてW115(200)を購入することとなった。さて、晴れて自分の車となったメルセデスベンツ200であるが、この車での苦労話は次回に続く…。

 

【写真】メルセデスベンツ200。味の素スタジアム(東京都調布市)の駐車場にて。

イベント名は失念したが、20台程度の旧車が集まった小規模なイベントにて撮影。

隣には日産ギャラリーにも展示されたことがある有名な個体プリンス・スカイラインスポーツコンバーチブルが見える。