日本でイタリアンを探すことはなくなりました。日本にいるんだから日本の物を食べたいと言います。
伝統和食はもちろん、お好み焼きやラーメンなどのB級グルメ、そしてコロッケやハンバーグなど日本式の洋食まで。
何でも美味しいと言って食べてくれます。ただしオムライスを除いて…。
オムライスだけは誰もが美味しいと言いません。一口味見をして「もうけっこう」となります。
その理由はイタリア人にとってのタブーな食材、ケチャップを使っているからです。
純粋なトマトを液状にしたトマトペースト使う事はあってもケチャップを調理に使う事はありません。
トマト以外に様々な材料 (砂糖、酢、塩、玉ねぎなど) が混ざったトマトケチャップは、調理に使わないだけでなく食卓に並ぶ事もありません。
混ざり物が多すぎだそうです。ジェヌイン(純粋)でない材料は調理には好まれません。たしかに食べた時に材料を言い当てれるような料理がイタリア料理の特徴です。
伝統的な和食を好むのもそのためで、素材を活かす和食がイタリア人の感性にぴったり合ったのでしょう。
オムライスにかかってるデミグラスソースもダメです。味が複雑すぎだそうです。イタリアンはフランス料理のようにソースに凝ることはありません。
つまりオムライスは、中のチキンライスがケチャップ味、それを覆い隠すようにデミグラス。素材を活かしてないわけですね。
かの国ではサラダドレッシングも好まれず、オリーブオイルと酢を各自が食卓で調整します。私がポン酢を買うと、食べる時に自分で醤油と酢をかければ、と言います。
辛くしたければタバスコではなく鷹の爪を使うのですが、タバスコは酢が入っているので味が変わってしまうわけです。
そう言えばお好み焼きが大好きなイタリア人シェフは、コックさんが焼いてくれる店を好み、ソースをかけずに別々に持って来て、と頼んでいました。
一面濃い味のソースに覆われ、食材の味がソースで覆い隠されるのが残念だとか。自分で調整して、日本のキャベツの甘みや焼き加減の香ばしさを味わいたいそうです。
私もトンカツなどにソースは少ししかかけませんのでわかる気がします。