みなさんこんにちは。
酒井根走遊会です。
今回は前回の記事に引き続き、”成長する環境” 後編 をお送りしたいと思います。
※前回の記事はこちらから
④ 試合のタイミング
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・ 試合には多く出た方がいいのか? ・ 選択する試合のレベルは自己分析が鍵 ・ 選択した試合が適切な範囲だった場合とそうでなかった場合 |
これは2020年2月からの主要な大会、中小規模の試合の中止を受けて多くの選手が競技を続けるモチベーションの低下、もしくは状態を確認できないことによってパフォーマンスが適切に向上しているか否かといった不安を感じていることと共に理解できるポイントだと思います。
日本は陸上競技に関して独自の発展をし、世界では類を見ないような試合のスケジュールが組まれています。
開催地を日本全国に求めれば、年間を通してほぼ毎月トラックのレースに出場することも可能です。また大小問わなければ、マラソン・ハーフマラソン・ロードレースは毎週どこかで行われています。
このように“常に試合に出ることができる“いうことは、目標となる大会を調整することに優れているだけでなく、結果を出すチャンスが豊富にあると言えます。
こうしたスケジュールの中で、多くの試合に出場しパフォーマンスを測れることはメリットもあればデメリットもあります。メリットとなるのは前述したとおり、レースでの修正・調整、日程調整が容易になるためにある程度体調を分析しながらベストな大会で全力を発揮できる点です。
しかしデメリットは、自己分析をしないままに大会に出続けてパフォーマンスを悪くしていく負の連鎖に陥ってしまうことです。多くの選手を抱えるチームでは大会スケジュールから多くのレースを選択して選手に情報提供もしくはエントリーします。
そうした場合に、調子の悪い選手がレースで良いパフォーマンスを発揮しようとしてできるはずもなく、また負荷の高い練習と位置付けて出走してもいいトレーニングゾーンで走り切れる可能性は低いです。こうした計画と期間の中で自信を失って回復するまでに時間がかかる選手は多くいます。
また調子のよい選手で連戦でのパフォーマンス向上が、その選手に自信を与えることは度々あります。そうした選手は調整とレースを繰り返し、基礎となるベースの練習を疎かにしがちになります。しかし基礎練習を疎かにしても走れるという過信が、その後のパフォーマンスの低下、そして負の連鎖の原因の分析を鈍らせます。
最終的に陸上中長距離の行き着く先は“基礎練習”と個人の“基本性能”がベースにあって、その上で試合に合わせた状態(発揮できる能力)を磨いていくことです。この“発揮できる能力“と試合・パフォーマンスが時に”基本練習“という最も重要な部分の重要性を曇らせます。
※この部分に関しては次回のブログにまとめたいと思います。
数多くのレースがあることは “チャンスがたくさんある“
ということで間違いはないのですが、
まずは、“レースとパフォーマンス“だけに執着して視野を狭めるのではなく、年間の計画や自分の状況をよく分析する必要があります。そして、”出場すべきレース”・“シーズン最後のレース”をチームのカレンダー・コーチ勧め・自分の欲求のままに選んでいくのではなく、自分の体調の中での最善なタイミングで選択し、決断しなければなりません。
(今シーズン一回限りの10000mのレース。一つのチャンスをものにする勝負強さが必要)
⑤ その他
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・ トレーニング場所 ・ 観客、サポーター、家族、友人…など見られていることからくるパフォーマンスの向上 ・ 得意な気象条件 ・ 得意な場所(ロード、トラック、競技場、コースなど) |
多くの若い選手、実際には競技を行わない大人の考えとして、
“強い集団に入ること” = “競技力を向上させる最善策”
“すべてが整っている環境に身をおけること” = “最短距離でパフォーマンスを向上できる環境”
という認識が一般的になっていると思います。
『強い高校・大学で練習を積めば、必然的に競技力が上がる。』
『マラソンはケニアの選手が速いのでケニアに行って練習すれば同じように速くなる。』
『アメリカで最先端のトレーニングを行えば、中距離のパフォーマンスが上げられる。』
『多くのトップ選手がサンモリッツやフラッグスタッフといった高地トレーニングをレース期の前に行っているので、同じように高地に行けば速くなる。』
実際にそうした環境に身を移してトレーニングを積むことによってパフォーマンスを向上させている例が多く示されているので、そうした考えを否定するつもりはありません。
しかしそれ以前に重要になる軸は、”仮定と結果の間”にどんなことが考えられてそれは今の自分自身・目標にとって本当にアドバンテージとなるのか?ということを分析しなければなりません。
仮定 高地トレーニングで多くの選手が速くなっているという事実、自分も高地トレーニングを行えば速くなる
→ 自分の必要なことに当てはまるか
→ 利益・リスクを考える
→ トレーニンググループ・コーチの存在
→ 試合のタイミング
→ その他
結果 自分は高地に行けば速くなる
こうしたプロセスを自分自身のベースとなる環境因子を分析しながら考える必要があります。
意外とこうしたプロセスを考えずに“良いと思われること”のみにフォーカスして取り入れたことで逆にパフォーマンスレベルと落とすことは少なくありません。
中学~大学といった学校(教育機関)の中で築かれる先生と生徒の関係のトレーニング環境は、
『正解というベースの上で、正しいことのみのサイクルで競技を行える』ため、いい意味ですべて整っていると言えます。
しかし、その先のステージでは自分自身と向き合い、必要な環境を選手自身の手で整えていく必要があります。
こうしたときに自分に必要なことは何なのか?といったことを一から分析できる選手はどこへ行っても充実した競技生活が送れることと思います。そして選手にとっての良い環境というのは、一概に同じものではなく一人ひとり違ったものになってくると思います。
ワンガヌイNZ1mile選手権マスターズのペーサー。ピーター・スネル像の前にて。
今回の記事を書くきっかけになったのは、私のオーストラリアでのトレーニング、帰国して日本での様々なトレーニングへの参加、ニュージーランドでの生活、他国でのトレーニング経験…、こういったことを話していく中で、
“日本の環境で競技をするうえで優れているポイントは何か?”・“ニュージーランドで競技をするうえで劣っているポイントは何か”
と聞かれたときに明確に答えを持っていなかったことに起因します。
7年ほど前はまだ具体的にわかっていなかったのですが、現在は私なりにある程度要点を絞って分析できるようになってきましたのでまとめました。私自身、考えが及んでいない部分も多くあると思いますが今考えられるところで分析すると上記のようになります。
この記事を読んだ方が、市民ランナー(フルタイム・パートタイム)、実業団選手、プロ選手、大学生、中高生…いずれにせよ、自分にとって良い環境を今一度考えるきっかけになると嬉しく思います。また、『今の環境で素晴らしいバランスの上で競技をできている』と考えて頂ける選手が多くいれば幸いです。
追記
“日本の環境で競技をするうえで優れているポイントは何か?”・“ニュージーランドで競技をするうえで劣っているポイントは何か”
この問いに対して書いていなかったので簡潔に書いておきます。これは各国の長所・短所が必ずあると思うので、日本・ニュージーランドのみならず様々な国の状況に関しても分析していければと思います。今回のブログ前編・後編・追記から“NZやAUSでこういった点はどうなっているの?”というご質問がありましたら、いつでもお寄せください。私のわかる範囲でお答えできればと思います。
※私自身、”NZが素晴らしいので日本が劣っている”という考えは全くありません。どこの国へ行っても利点・不利な点の両面は必ずあります。さらにピンチはチャンスで、劣っている点が逆にプラスに働くことも多々あります。大切なことは今いる環境を多角的に分析してその中で自分がベストだと思える選択をして競技を全力で行っていくことだと思います。
日本の環境で優れている(と考えられる)点
・ 競技会が多い
・ 競技人口が多い
・ トレーニンググループが多い
・ レベルの近い選手が多い
・ 陸上競技場が豊富にある
・ サポーターを得やすい(応援・タイム・食事・荷物…その他)
・ ランニングギアが安価で手に入る
・ 選手を育成するシステムが充実している(小中高・大学・実業団・プロ)
日本の環境で劣っている(と考えられる)点
・ ロードが主な走路
・ 夏冬の寒暖差が激しい
・ コーチと選手の立場が対等でない場合が多い
・ ジュニア世代にとっては厳しすぎるトレーニングを課している
ニュージーランドで優れている(と考えられる)点
・ トレイル、芝生など走路が豊富
・ ランニングのために厳しい気候の時期が少ない
・ ジュニア選手にとってゆとりをもってトレーニングできる
・ エリートランナーからファンランナーまでの関係が近い
・ 英語環境で最新の情報が手に入りやすい
・ コーチの発想が柔軟
・ コーチと選手の関係が近い
・ トラック・ロード・クロスカントリー・オフシーズンがはっきりと分かれている
ニュージーランドの環境で劣っている(と考えられる)点
・ ロードが硬い
・ 風が強い(ウェリントン)
・ 競技場が少ない
・ 競技会が少ない(10000mの競技会が年に一回だけという年もある)
・ エリートランナーはトレーニングパートナーを探すことが難しい
・ 厳しいトレーニングも一人ですべてこなさなければならない(逆に一人でも走れるようになる)
・ ランニングギアが高価
・ 選手を育成する、サポートする機関・企業が少ない







