久しぶりの酒井根走遊会海外支部からの更新です。
今回はロングランセッションについて。
今住んでいるオーストラリアは、ハーフマラソン・マラソンのレベルが高くありません。
日本と比べると低いです。
その違いはロングランセッションにあると思います。
『ペース走』
日本で長距離のトレーニングに取り組んだことのある人なら誰でも一度は行ったことがあるでしょう。
ところがここオーストラリアにはペース走というものが存在しません。
なぜかと聞けば…
It's not fun! つまり楽しくないからということです。
これでは答えになっていないので、私なりに分析した結果は次のとおりです。
・ペースを維持する練習・レースがない
長距離の練習に関して、ペースを維持すること(日本のスタイルで言うと我慢すること)が最も大切だと日本人は考えます。そのためハイペースの維持を日本のコーチは考えます。
ハイペースを維持することに重きが置かれているので、練習自体も特にペースを意識した考え方に偏っていきます。
グループでチームのために我慢する練習という観点から、コーチも多くペース走を取り入れたいと考えるのではないでしょうか。
『チームでこのペースでこれだけの選手ができる』
ということがチームやコーチのステイタスになっているのではないかと思います。
対してオーストラリア。チーム練習ですが、自分の体調に応じて練習は直ぐに切ります。我慢をする前にフォームが乱れたら故障につながるということを共通の理解として、ペースや距離を決めていくので、グループで同じペースで同じ距離を走るということはほとんどありません。
従ってペース走という練習が発達しなかったのではないかと考えられます。
ペースを維持するレースがないということは、基本的にありえないように思いますが、
海外でレースをするにあたって、その感覚が少しづつ理解できるようになりました。
特にクロスカントリーレースは完全にペースは度外視です。
なぜでしょうか?
日本では考えられないような坂があり、川があり、柵があり、芝生は深く、などなど…
同じコースでも毎年タイムは全く違います。環境に応じて勝てる戦略と自分の走りを考えなければなりません。そうしたラウンドを回ることによって、
『今回のレースは90%で次に勝負』
『後ろからゆっくり入って、ゴールできる着順はまわりの状況次第』
などある程度調整のレース(悪く言えば捨てレース)も決めなければならないからです。
日本で走っている時には考えられないことでした。
日本はシリアスランナーが走るレースは、タイムを狙うためにフラットでいい条件を毎年維持できるような状況を与えられることが普通だと思います。
そのため、コーチは常にタイムを狙う指示を出し、選手は常にタイムを狙う走りをしていることと思います。
クロスカントリーレースを通じて感じていることは、
・ペース対応を考える
・体の状態を理解する
・レースのラウンドを考える
ことによって、一定のペースにこだわらない自分なりの調整力というものが身についていく、
自分の体をマネジメントできるようになるのではないかと思います。
これは自己管理の面で言うととてもいいことだと思います。
しかし、これではハーフマラソン・マラソンは強くなりにくいということが現在のタイム差によって示されています。
ハーフマラソン・マラソンは一定のペースを維持する時間がとても長い種目です。
そのため、ペース走のような練習が必要になります。
一定のハイペースを維持していくときつい場面に差し掛かります。
そこを何度も乗り越えることで、それらを走る能力が養われていきます。
日本人は知らず知らずのうちにここを仲間と乗り越えているため、世界に通じるランナーが多く排出されてきたのではないかと思います。
これらの種目に強くなるためには一定ペースの練習は必要不可欠でしょう。
ただ注意してほしいことは、動きがおかしい(またはきつい)と感じた時の対処です。
海外選手はすぐ止めるということを前述しましたが、すぐ止めるのではなく、
ハマるところを発見することにトライして欲しいと思います。
もちろん崩れたまま続けることにはリスクがありますが、動きを直す技術を身につければ、それはレース中の武器になります。
ぜひロングランセッションでトライしてみてください。
今回は何をどうしろという報告ではないのですが、マラソンを控えた今の自分の方向性を考える資料となることだと考え報告しました。
4月中旬からこの練習計画に沿って、週1回のロングランセッションはハーフマラソンのペース走(3゚20”/km under) か 30km走(3’30”/km average)を行っています。
ぜひオーストラリアンを驚かさせられるような走りをゴールドコーストで(^O^)
頑張ります。