【パリ宮川裕章、ブリュッセル斎藤義彦】フランス大統領選(4月22日第1回投票)で、サルコジ大統領(57)の対立候補である最大野党・社会党のオランド前第1書記(57)の債務危機対策に不安の声が上がっている。オランド氏が欧州連合(EU)の25カ国により2日に署名された「財政規律条約」の改正を主張、積極的な財政出動を唱えているからだ。オランド氏が当選すれば、独仏主導で進めてきた債務危機対策が根底から崩れるとの不安感がEU各国に流れている。
オランド氏は財政規律条約の厳格な歳出削減策に強い不満を示し、「経済成長戦略も必要」と主張。財政赤字を絶対悪とみなすメルケル独首相やサルコジ氏の路線とは明確に異なる。債務危機解決の切り札とされる「ユーロ共同債」もこれまで仏独の合意で先送りされたが、オランド氏は実現を目指している。
債務危機ではこれまで、独仏首脳会談で対応策の大枠を決め、他のユーロ圏諸国が従うパターンが続いてきたが、既に変化の兆しが見える。仏ルモンド紙は「メルケル首相はサルコジ氏以外の欧州首脳との面会回数を増やしている」と指摘。「サルコジ後」をにらんだ対策に加え、「1月の仏国債の格下げで、独仏はもはや以前の力関係にない」と分析した。
一方のオランド氏側近も仏経済紙「レゼコー」で「成長戦略を打ち出すには欧州全体との対話が重要だ」と語るなど、欧州の構図が大きく変わる可能性がある。
仏大統領選ではこれまでも、第1回投票を前に左右の2大政党の候補者がそれぞれ極左、極右により近い政策を掲げて支持基盤を固め、決選の第2回投票では中道層を奪い合う展開が繰り返されてきた。仏世論調査会社「CSA」の5日の調査では、極左政党「左翼戦線」の支持者の7割が、オランド氏の経済政策を「信用できる」と回答している。