私は、今でこそ、
車酔いとは無縁ですが、

中学生の頃までは、
酷い『車酔い人』でした。

車を見ても、
車の傍にいても、
当然ながら
車に乗っても、

とにかく、
すぐに酔ってました。

酔っている時は、
何をやっても、
気分の悪さは無くならず、
周りの人にも気を使うし、

車でのお出かけは、
苦痛でした。


バスなんて最悪。

バスの個々の部分
(大きなハンドルや
二本ある長~いレバー、
クラクラする程
魅惑的なスイッチの数々…)

は大好きですが、

あの脳にまで伝わる、
小刻みなエンジンの振動。
車内の匂い…。

それらはもっての他。

間違いなく、
その頃の私の天敵のひとつでした。

一生『車酔い人生』なんだ…。

そんな鬱々と思っていた私が、
車酔いから解放されたのです。

しかも、いきなり。
ある事をきっかけに。

それはある日…。

何かの集まりで
バスに乗った時。

『酔う人は前に!』
といわれ、

友達から一人離れて
前の座席に座った私。

出発前になると、年配の女性が傍にやってきました。

『吐きそうになったら言ってね。』

彼女はそう言って、
私の後ろの座席に座りました。

出発してほどなく、
いつもの如く、
うっぷ、
となり始めた途端…

私の異変に気付いた
先程の女性は、
袋を手に、
素早く私の横に、
ついてくれました。

『大丈夫!これ使って!』

バン!!

という音と共に現れたのは、

空気が入り
ふっくらと膨らんだ、
半透明な
45Lのゴミ袋。

『さぁ!!!』

彼女は45L袋を私の口にあて、
背中を擦ってくれるのですが、

『45Lショック』
があまりにも大きかった為、

出るモノも引っ込んでしまった私。

にもかかわらず、
私の背中を擦りながら、

何とか
『出さそう』
としてくれる女性。

(ここで吐かねば、
申し訳ない…)

妙な義理立てを彼女に感じて
何とか出さそうとするものの、

口に充ててある
45L袋を見てしまうたび、

ますます吐き気は遠ざかり、

45L袋だけが仕方なく、
私の口にぶら下がっていたのでした。


以来 車酔いしなくなりました。


思いもよらない所からの、
強烈なショックと
強い善意。

これ、効くかもしれません。