
地元の駅に着くちょっと前かな。
ドタッ!
少し離れたところから鈍い音がした

就活生かな

黒スーツをピシッと着た、いや着てたであろう女子が車内で倒れた

俺と同じ駅で下車するはずやったんやな

ちょうどドアの前で倒れたみたい

周りにいたおじさん数人に抱えられながら駅に降りた

もう、足はフラッフラッ

おじさんズは女子を駅の椅子に座らせた

で、ここからや

女子、放置。
完全に、放置。
皆さん、素晴らしく他人事。
真っ青な顔してる女子、放置。
お連れ様なし、放置。
大丈夫やろか…

放置…

酔っ払いじゃないのは見てわかる。
皆さん、放置…

俺はその一部始終を見てた

誰もかもが女子スルー





そんなんあり











キリンビールバカには実は別名がありまして

お祭りバカ!
さて、俺の出番や







女子に声かけてみる

大丈夫ですかー

……反応なし

元気ですかー

いやいや、冗談

意識はある

そこに突然現れた、俺の母ちゃんと同じくらいの歳なおばさん

『私、看護婦やねん!ちょっと見せてみ』
おぉー
まさに天使

まさに天使

目や脈をみる天使



『貧血やろ。休ませたら大丈夫!』
すげーよ、おばさん

いや、天使



『私、みといたげるからお兄さん帰り』
いやいや、お祭りバカですから

何か手伝うことあれば、やりますよ

天使と俺で女子の回復を待った

俺、人見知りするからニガテやなぁ、この空気

ずっと駅のホームで無言で居てるのもなんかね

勇気を出して天使に聞いてみた

看護婦してはるんすか

ご主人が開業医で看護婦として、妻として頑張ってたらしい

数年前にご主人亡くされて、今はお嬢様とふたりで細々と過ごしてるとか…

さっき、『私、看護婦やから』って言わへんかった

まぁ、そんな小さな事、別にいっか

女子、しばらく休んでたら回復してきた

良かった~





天使と駅のタクシー乗り場までヨタヨタしながら連れて行き、女子は無事に
帰宅
帰宅
それでさ…

天使の引き際がスマートすぎる

サッと…
『ありがとう。おやすみなさい。』
天使、すげー

俺の痛風も診てくれへんやろか

なんてね

しっかし、あの女子を見て見ぬふりしてたやつらめ

これは…
たまには役立つ
お祭りバカでした
お祭りバカでした
ほな


