今から6604万年前、太陽系の第三惑星に直径10kmの小惑星が近づいていました。ちょうど中生代白亜紀の終わりで恐竜が繁栄していた頃です。
今でも宇宙からユカタン半島にその跡を見ることができます。赤い○で示した所がクレーターの南半分で北半分は海底にあります。
地球への衝突角度は45°~60°で生命にとっては最悪のシナリオでした。広島型原爆の10億倍の威力です。大量の物質が地球を覆い冬がやって来ました。地球は10℃から16℃冷えたといいます。地球上の生物の75%が死に絶えました。
これはチクシュルーブ・クレーターではありませんが、小惑星が衝突した跡は世界各地に残っています。最近、チクシュルーブ・クレーターからイリジウムが検出されています。これは小惑星に由来する物質で地球では見当たりません。つまりユカタン半島に衝突した小惑星が恐竜を絶滅させたという説が確実になりました。
小惑星の衝突で地球に冬がやって来ました。環境に過剰適応して大きくなった冷血動物が生き残るのは不利な状況となりました。そこで寒い環境で有利になったのがネズミを小さくしたような哺乳類です。哺乳類は自分で体を温め寒ければ体を寄せ合います。こうして人間の祖先はまったく特色も取り柄もない当時恐竜の餌にもならないような小さな哺乳類から進化しました。
弱くて特色がない。特色がないと言うことはどんな形にも変化できるという可塑性があります。こうして哺乳類は互いに温め合って寒い環境を生き抜きました。ある者は海に戻り海洋生物になりました。ある者は森に進出しました。そして、440万年前ヒトが誕生しました。進化の頂点にある人間、今、人間活動が温暖化や核開発、環境破壊など自滅に向かうような活動をしてる側面があります。
恐竜がある日突然小惑星によって絶滅したように、人間もあの何の取り柄もない特色のないネズミのような祖先のことについて深く学ばなければなりません。なぜ厳しい環境を生き抜けたのか。それは体を温め会い互いに分かち合ったからです。それは愛という言葉で表せることができるかも知れません。そこから私たちの生活や活動を軌道修正するヒントがあると考えられます。
6604万年前に起こったこの出来事から何を学ぶか。私たちの遠い祖先が示唆する物は何なのか。深く考えてみたいと思います。
さらにさかのぼって2億5千万年前に生命の90%が絶滅するという壮絶な事件が起こりました。地球45億年の歴史から見ると最近のことです。ペルムブルームという地球規模の巨大噴火です。これにより古生代は終わり、中生代に入ります。地球の地殻は固い物質なのですが、これがマントルに落ちていくことがあります。噴火したのはシベリアの中央部です。溶岩はユーラシア大陸に流れ出しました。火山ガスや溶岩、粉塵が地球を覆い全体が氷の世界となりました。地球上を覆った三葉虫が絶滅しました。
しかし、この生命大量絶滅は、次の生命の繁栄をもたらします。生命は古生代よりもはるかに多くの種を進化させ、多様な生命が地球に生まれます。生命爆発です。恐竜がその一つです。そして、地球を覆ったのは恐竜の世界となりました。しかし、前述の通り、小惑星の衝突で絶滅しました。実は、6604万年前に絶滅したというのは正しくありません。恐竜は数万年生き延びた物がいることが最近の研究で分かっています。
人類が登場したのは、400万年前です。今、第三の生命が地球を覆っています。この生命は文明を持ち、高い知能で宇宙まで進出しました。しかし、文明を平和のために使うのではなく、自らを滅ぼすために使いました。今でも、領土を広げようとして各地で戦争を起こしています。それぞれに大義名分があり、自分が正義だと思っています。
地球を覆った生命が3つあります。しかし、三葉虫は火山噴火で、恐竜は小惑星の衝突で絶滅しました。ホモサピエンスと言われる進化の頂点の立ったと自負する生命は、お互いに殺し合い、築いた物を破壊し合っています。彼らは、これを続ければ、自らの手で絶滅することを知りません。
三葉虫は火山噴火を止めることができませんでした。恐竜は小惑星の衝突を止めることはできませんでした。人類は自らの絶滅の危機を止めることができるかもしれません。それは、共存を選ぶか、絶滅を選ぶか、彼らの選択にかかっているのです。知恵ある人ホモサピエンス。その知恵を平和のために使ってください。賢い選択をしてください。
人類の祖先、あの小さいネズミのような哺乳類たちが、恐竜の脅威から、いくつもの氷河期の寒さと飢餓から生き延びたのは、互いの温め合って共に生き延びたからです。



