俳句 | バイカルアザラシのnicoチャンネル

バイカルアザラシのnicoチャンネル

 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

満月とジャイアントインパクト

 これは10月6日の仲秋の名月ですが、十五夜ではありません。月齢が15になったのは翌日の7日でした。このように仲秋の名月と十五夜は別の日になることがあります。仲秋の名月とは太陰暦の8月15日に見える月なので、この日が月齢15になるとは限らないからです。

 

 それはそれとしてこんな質問が寄せられました。

 

 月は大きく見えるときと、小さく見えるときがあるのですが、本当ですかと理科の先生に尋ねたそうです。すると、理科の先生は月が稜線に近いときは錯覚で大きく見えることがあります。カメラで撮ると稜線に近い月も同じ大きさになります。

 

 さすが理科の先生、錯覚でそう見えることはあります。論理的ですね。でも、自分はやはり月が大きく見えたり小さく見えたりすると思うのですが・・・。

 

月の近地点と遠地点での見え方の比較

 実は月は50億年ほど前に火星大の小惑星が地球に衝突して片割れが月になった物です。これをジャイアントインパクトと呼んでいます。今でも年に月は3cmほど地球から遠ざかっています。この画像を見ると月は近地点で35万7千km、遠地点で40万6千kmと楕円軌道を27.3日で公転していることが分かります。月は38万5千km離れているというのですが、これは平均の距離です。

 

 なので、近地点に来たときは12%も大きく見えます。ちなみに近地点の満月をスーパームーン、遠地点の満月をストロベリームーンと呼んでいます。今年のスーパームーンは11月5日で、スーパームーンの中でも最も近地点を通るので見逃せないですね。何と言っても5万キロも近いのですから、大きく見えるはず。

 

 名月を詠った俳句は多くあるのですが、小林一茶が「おらが春」のが有名です。

 

 名月や とってくれろと 泣く子かな

 

 一茶が57歳の時の句です。おんぶしているのは「さと子」で56歳のときの子で2番目。実は1番目の子がなくなり、この女の子も亡くなります。仲秋の名月を愛でて見ていると、おんぶしているあどけない娘が名月を取ってくれと泣く。なんと健気な娘なのでしょう。一茶が困っているのでしょうが、子どもへの愛情がほとばしっている句です。それでも娘は亡くなっていく。一茶はもう一人子を得ますが、この子も亡くなりました。

 

 一茶の生涯はいったいどんな道程だったのでしょう。この世の中をどのように見ていたのでしょう。そんなことは関係無しに、名月は一年に一回やってきます。相変わらず美しい光景を見せてくれます。名月の下で、私たちは名月を見上げ、何を感じ、想いを馳せるのでしょう。