「日本の桜の名所百選」の吉野山の今日の様子、すでに満開を過ぎています。
中千本は、満開から散り始めの季節です。奥千本は満開だそうで。すでに新緑の季節に入ろうとしています。
それでも、桜を楽しむには充分です。風が吹くと花びらがひらひらと散っていきます。
始まりました。大名行列。十万石クラスの行列です。
吉野山に桜の開花を蔵王権現様に知らせる花供懺法会、女性の比率が男性よりも多いように感じられます。弓を射て護摩壇を清めます。
採灯護摩に火がつけられると激しく燃え上がりました。あまりに炎の勢いが激しいのか、山伏達の顔が揺らぎます。
人々の祈りが書かれた護摩木が焼べられ最高潮を迎えました。
どんどん護摩木が焼べられます。花供懺法会も終盤。オン・バサラ・クシャ・アランジャ・ウン・ソワカ、眞言が唱えられます。さらに太鼓を音頭に般若心経が唱えられ、太鼓の音は体を通過するほど響き渡ります。
最後は餅投げで終わります。赤鬼や青鬼が餅を投げるとは! 吉野山では役行者が鬼を調服して、仏道を守る存在なので、節分の豆まきでもここでは「福はうち、鬼もうち」と呼びます。
今日はいい天気でした。桜の開花もやや遅れ気味で桜を愛でるには充分花も残っていました。お店に入ってうどんと柿の葉寿司をいただきました。おうどんの汁は京風で薄味です。柿の葉寿司は鯖寿司を柿の葉で巻いた物で奈良県のソウルフード。吉野葛のデザートもついていて、これまた最高。
花より団子とはこのこと。萬松堂が宮内庁に献上した草餅はよもぎがてんこ盛りに入っています。三色団子は鉄板。桜餅は桜の香りがほんのり。きな粉餅も桜色。さすがに手の込んだ趣向です。
日本最大秘仏 特別御開帳5月6日まで
それにしても蔵王権現とはどんな神様なのでしょう。修験道を開いたのは役行者、舒明天皇6年(西暦634)に奈良御所市に生まれ、葛城山や大峯山で修行したと言います。大峯山の山上ヶ岳で祈っていると岩から憤怒の形相をした仏が湧き出したと言います。役行者が桜の木にその姿を刻みました。それが金剛蔵王大権現です。過去を救う釈迦如来、現在を救う観音菩薩、未来を救う弥勒菩薩の化身だと考えられています。つまり、蔵王権現を拝せば、過去も現在も未来も救われるというのです。鬼のような激しく怒った形相は、すべての人を救おうとする仏の深い慈悲を表しているのです。
桜は蔵王権現のご神木。吉野山では全山が桜で覆われています。桜の寿命は50年ほど、なので新しい苗木がどんどん植えられています。最近、桜並木が老木で危険なため立ち入り禁止になっている地域が増えてきました。吉野山では桜の更新が行われているので、いつまでも今のような桜の名所でありつづけるでしょう。それは、蔵王堂を中心に根付いた人々の信仰によるものなのでしょう。
花供懺法会での山伏達の表情は笑顔に満ち誰もが凜々しさで満ちあふれていました。それは5月3日の戸開け式を皮切りに修行の季節が間もなく始まるという喜びの季節なのだからでしょう。戸開け式に参加したことがありますが、ここは異世界です。神々しさと厳かさで圧倒されました。何か分からないのに悟りの世界がここでは確かに感じられるのです。
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