南海トラフ巨大地震に備える 自助と共助と言うけれど? | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 能登半島の地震と津波では直接災害で亡くなった方227名よりも災害関連死の方229名と二名上回りました。助かるべき命がなぜ失われるのか。そのことを自助・共助・公助で考えてみたいと思います。自助とは自ら災害に備えて一週間程度は生活ができるように衣食住を準備しておくことです。共助は隣近所などコミュニティでお互いに声を掛け合って助け合うこと。公助は消防や自衛隊・自治体の助けを借りること。

 

 ここに揚げたグッズはいざというとき持ち出す物です。最低限これだけは必要です。特にポータブルトイレは大切です。食は半日は食べなくても大丈夫ですが、トイレは1時間後には必要になります。我が家では50回分を備蓄しています。

 

 気持ちよく眠ることは大切です。体育館で毛布だけでは冬はとても眠れません。強い味方になるのはシュラフです。それでもシュラフだけでは暖を採ることはできません。シュラフを包むカバーが必要です。これはゴミ袋を三つほど重ねて封筒状にして使ってもかなり効果があります。ライトは欲しいところですが、ヘッドランプは重宝します。冬の体育館は冷え込むので雨合羽を着れば暖かく過ごせます。シュラフに入るときは、雨合羽をシュラフの外側に巻き付けるとより温まります。シュラフは体温で中綿が膨らむので雨合羽は必ずシュラフの外にします。また、着替えはないと考えた方がいいので、これを常用することで汚れが少なくなります。体育館シューズも忘れずに。スリッパもないよりはましです。

 

 スマホなどの電源は予備バッテリーが必要になりますが、長期になるとポータブル電源とソーラーがあれば昼はソーラーで充電して使えます。電源300Wとソーラーパネル40Wのセットで三万円程度です。

 

 これくらいの食材は備蓄しておくといいです。賞味期限があるので、日常使いで新しいのに更新していきます。南海トラフでは一ヶ月以上支援が来ない可能性があります。せめて三日分、できれば一週間分は備蓄しておきたい物です。車中泊ではガスコンロがあれば、すぐに室内が暖かくなりますが、一酸化炭素中毒にならないように換気に注意します。

 

 私たちの住む紀伊半島で台風で1日半停電になったことがあります。テレビもラジオも聴けません。頼りになったのはスマホです。スマホならNHKテレビが視聴でき、ラジオも聴けます。また、ダウンロードしておけば映画や音楽も聴けます。ヘッドホンがあれば、お隣に気兼ねなく楽しめます。ただdocomoの中継基地が1日半でバックアップ電源が落ちてインターネットも電話も繋がらなくなりました。そうなると手回し式のFMラジオは貴重な情報源となります。

 

 このように1日半で通信手段は途絶えます。最後の頼みはアマチュア無線です。この周波数での運用は無線従事者免許状と無線局免許証が必要になります。144.5MHZと433.3MHZが非常無線周波数として割り当てられています。非常時には優先的にこのチャンネルでの通信が優先されます。

 

 能登半島のニュースで気になったのは水の確保です。自分が感じたのは井戸の大切さです。井戸があれば、水を得ることができます。水道・ガス・電気はパイプで繋がれていて地震では寸断される可能性が大きくなります。井戸は図のように単独なのでライフラインの寸断のリスクを低くすることができます。

 

 水道の仕組みをみればパイプで繋がれていることがわかります。電気もガスもラインで繋がれています。水道やガスは地中に埋められているため、一度寸断すれば復興はかなり後になります。上の図と比較すると地震では井戸の優位性がよく分かります。

 

 井戸があってもポンプが動かなければどうしようもありません。一番便利なのは手押しポンプです。二万円程度でDIYで売られています。自分は、こんなセットを組んでみました。家にある電動ドリルにポンプを繋いでホースで井戸水を揚げようとする物です。実際は吸水側ホースを井戸に入れるのですが、十分な水をあげることができました。

 

 井戸水にはピロリ菌などがいることがあり、飲用に適するかは保健所の検査が必要です。それでもトイレの水なら一分程度で揚げることができます。洗濯水なら10分程度でしょうか。このセットで1万円以内で揃えることができました。家を新築するとき井戸が邪魔で埋めてしまうお家が増えてきました。確かに井戸を使うことは少なくなりましたが、今一度見直してもいいのではないでしょうか。

 

 我が家ではアウトドアをするのでこのように災害への備えもできていますが、この自助や共助と言う言葉には疑問を感じるようになりました。もちろん自助や共助は大切なのは変わりません。

 

 それは神戸市にある「人と防災未来センター」を訪れたときのことです。ここで阪神大震災の揺れを実際に経験することができます。実体験して「これは助からない」と思いました。助かったならそれはラッキーでしかありません。片田先生のおっしゃるようにその時は「最善を尽くす」のですが、巨大地震ではそれさえできないこともあるのだと。様々な気づきを感じることができる施設です。

 

  自分の住む松阪市では避難時に、「水・食料・寝具」を持参するのが前提になっています。台風で避難するとき、実際にそんなことができるでしょうか。南海トラフ巨大地震が起こったとき、我が家で備蓄しているグッズを全部持って避難できるでしょうか。自助や共助には限界があること。いざ起こってしまえば、命からがら手ぶらで避難することになるのではないかと。

 

 災害へは悲観的に備え、いざ起こってしまえば楽観的に行動する。これが鉄則のようです。というよりそうするしかないようにも思えます。伊勢湾台風を経験してしみじみとそのことを感じました。

 

 我が家でこのように備えているのは、もともとアウトドアが講じてのことで、日常を楽しんで災害が起これば、このノウハウを利用する。ただそれだけです。車中泊をしながら遠出をするのも面白いです。その延長上に災害の備えにも役立てればいいと考えています。

 

 減災を考えるとき、災害から逃れて助かったとき、いかにして命を長らえるか。生き続けられるか。これは大きなテーマになると思います。