今日は深野の棚田にサイクリングに出かけました。小川の小さな滝の傍の林道を上っていきます。
幾つもの滝があります。坂道はだんだん急になってきて自転車をひいて歩いています。
ここは松阪牛の故郷です。広い牛舎に二頭だけ、周りは小川が流れる音しか聞こえてきません。ストレスフリーな環境で美味しいお肉はできるのでしょう。
今は花はありません。咲いているのはここだけです。今日のは灰色の空で曇っているのにはここだけなぜか明るいです。薬師草が咲いています。花言葉は賑やか。群落を作ってにぎやかに咲いています。
柿の葉が紅葉しました。なのに全く実の一つもありません。今年は柿の不作なのでしょうか。
虫食った紅葉のはっぱ。赤くて橙で虫食ったところだけが緑。美しいです。
やっと峠に来ました。もう急坂ばかりで大変でした。切り通しを越えればどんな景色が見えるのでしょう。
峠を越えると白猪山の夏明ルートの登山口です。ここから一時間で山頂まで行けますが、今日はこのまま帰ります。
棚田の道には庚申様が祭ってあります。隣には小さな小屋があって昔はここでおじさん達が酒盛りをしていました。雨宿りをするにはいいのですが、「兄ちゃん、いっぱいやってきな」なんて酒を勧められるので困りました。
対岸の山よりも高い深野の棚田です。とんがって見えるのは伊勢三山の局ヶ岳。端正なピラミッドをしています。秋口は雲海が出ます。雲より高い棚田。その石垣にベゴニアが花園になります。それは天空の花園。
やがて霧は上昇し、薄くなっていきます。そうすると朝日が満月のように見えることがあります。カメラを向けるとくっきりと黒点が写っています。水が織りなす妙なる風景です。
麓まで降りてきて、振り向くと石の芸術「深野の棚田」日本の棚田百選に指定されています。江戸時代中期、白猪山に豪雨が襲いました。一ヶ月も降り続いたとあります。急な斜面の集落が海になったと記録にあります。屋根の上が川になったと。そんな馬鹿な。この集落は急峻なため、石で高垣を築きます。家の裏は高い石垣です。そこに雨が降れば屋根に雨が流れます。その様子が「屋根が川になった」という表現になりました。昭和の時代にここに住む人々はそれを目の当たりにしました。
宝暦三年、白猪山は山頂から大崩落します。崩落花崗岩でできている白猪山は大雨が降るごとに花崗岩を崩してきました。集落は全滅しました。生き残った人々は、花崗岩で棚田を築きます。そして、今のように石の芸術深野の棚田をできました。重機もなく、人々はふいごで土を運びました。収穫高は災害前の1.5倍になりました。こうして人々は災いを幸いに変えてきました。ここから見る石垣の美しさは、当時の崩落のものすごさを伝えています。今でも家1件分の花崗岩が花家に転がっています。