2月14日と言えば、バレンタインディです。もうすぐですね。バレンタインの伝説はこんな感じです。
イタリアのテルニにバレンタインという伝説の司祭がいました。三世紀のローマはクラウディオス帝の治世で、皇帝はローマ兵の士気が下がらないように結婚を禁止しました。司祭は皇帝の命令に背いて、兵士達に結婚の秘蹟を行っていました。彼は教会の庭にある赤い薔薇を愛し合う二人に贈りました。
このことは皇帝の知るところとなり、バレンタインは牢に捕らわれました。貧しい盲目の少女が毎日のように、司祭の説教を聞きに来ていました。司祭は少女に「あなたがたは互いに愛し合いなさい。愛こそが世を救うのです。」と説きました。乾いた土に雨が吸い込むように、飼い葉桶に生まれた救い主の言葉は、少女の心に浸透していきました。司祭は、少女に洗礼を施します。すると少女の目は見えるようになりました。
皇帝は司祭が盲目の少女の家族に洗礼を受けたことを知ると、司祭を処刑する命令を出しました。明日は処刑が執行される。雨が降っている。一雨ごとに春をもたらすこの雨は、殉教者の心を潤しました。この雨が止んだら春が来る。この雨が止んだら処刑台に上る。その夜、バレンタインは少女に手紙を書きました。「愛する娘へ・・・・あなたのバレンタインより」
空はこんなに広く青かったのか。太陽はこんなにまぶしくて、月はこんなに青かったのか。小鳥はこんなに小さくて、オリーブの葉はこんなに緑で、トマトはこんなに赤かったのか。少女は司祭を見ました。優しいまなざし。美しい瞳。司祭が処刑台に上ることによって、娘は目が開かれ、救われたのです。
東の空から太陽が昇るとバレンタインは刑場に引き出されました。「助けよ!」「殺せ!」「彼こそ、愛の人」「背教者」「殉教者」民衆は様々な言葉を吐きかけました。司祭は黙って処刑台に上ります。ほふれらる羊のように何も言わないで黙して。処刑は粛々と執行されました。一つの種が地に落ちて死ねば、そこから多くの命が新しく生まれます。紀元269年2月14日、聖バレンタイン絞首刑にて殉教。列聖される。
ここまで書いてきたのですが、皇帝クラウディウスは兵士に結婚を禁止したという史料はありません。また、2月14日はもともとローマの神々の祭の日でキリスト教とは何の関係がありません。バレンタインのモデルと言われるバレンティヌスも伝説の司祭でバチカン公会議で実在が確かめられなかったため、もう聖人リストにはありません。3世紀のヨーロッパにはトマトはまだ栽培されていません。ラテンアメリカから大航海時代に入った物です。
女性から男性にチョコを贈るのも日本だけで、欧米では男女がチョコレートではなく様々なプレゼントを贈り合う日です。3月14にマシュマロをお返しするのも日本から始まった習慣です。では、一体誰がこんな祭を仕掛けたのか。これは神戸にあったお菓子屋さんが張本人。モロゾフが始めたことでした。
だいたい日本人はこんなことをするのが得意です。江戸時代に土用に「う」のつく物を食べるといいとウナギを食べるように仕掛けました。明治にはクリスマスにケーキ屋さんがちゃっかり仕掛けました。今ではハロウィーンやイースターも・・・。平成に入れば、コンビニが恵方巻きを節分に出すとか。
と言うことで、白ウサギが盛りに盛ったお話は、シラケ話となってしまいました。今年のチョコレートは小さくなっているか、薄くなっているか、入っている数が減らしてあります。値段を上げれば、売れなくなるのかちょっと寂しいですね。静かなる値上げなのかも。まあ、白ウサギにとっては、バレンタインディーはあまり関係が無いので・・・。みなさんは、どんなチョコを贈るのでしょうか、贈られるのでしょうか?
