立春を過ぎると冬の枯れ野にも春の野草が顔を出しています。まずは小さな花が咲き始めます。緑の中でひときわ桃色が目立つ花はホトケノザです。
ホトケノザは、名前のように葉っぱが仏像の台座のような形をしているので、仏の座と名付けられました。ギリシア語ではラミウムと呼び、喉の形をしているというのです。所が変われば、目の付け所も変わるものですね。
ホトケノザといえば、春の七草ですが、これはコオニタラビコのことで、この画像のホトケノザとは全く違う野草です。毒があるとは言いませんが、食用には適しません。たまに、このような画像で春の七草と紹介していることがありますが、これは間違いです。花言葉は、「輝く心」で確かに仏の座の周りは春の光で照り輝いているようにも見えます。
貞德の俳句にこんな一首があります。
野寺あれて 跡にやはゆる 仏の座 無住になった寺が廃れて、その後にはホトケノザが群生している。ここからはこの俳句で登場する |
説一切有部、人が作った物はいつか廃れます。なのに野に咲く草花は枯れてもまた次の年に咲く。世の中にあるすべての物は、移り変わり、消えてはまた生まれます。平家物語の冒頭で、諸行無常、盛者必衰の理とは、このような情景を言うのかも知れません。