今朝の稲荷山公園のパノラマ。桜の名所ももう深緑に変わってしまいました。緑が日一日濃くなっていくのもいいものです。まもなく水が入ると伊勢三山の中央にある白猪山が逆さに映ります。今日は風か強くて突風が吹くことがあります。
あぜ道のタンポポ。一週間前に刈り取ったのにもう花をつけました。茎が長くなるまでに刈り取るので地面にはうように咲いています。刈っても刈ってもいっぱい花をつけて、緑の中に黄色がいっぱいです。タンポポってこんなに強かったんですね。
加藤楸邨の俳句にこんなのがあります。
たんぽぽの ぽぽと綿毛の たちにけり
タンポポの綿毛が一本一本まっすぐに立っているよ。こんな意味なのでしょうか。「ぽぽと」は擬態語なのでしょうが、楸邨の造語でしょう。まっすぐに凛と立っているのを見たままに頭の中に浮かんだ言葉が「ぽぽ」でした。ひよっとしたら楸邨の心の声だったのかも知れません。
俳句や短歌ではすぐに解説したくなります。タンポポは春の季語であるとか、「けり」は詠嘆の助動詞で、区切れ無しの俳句だとか。tanpoppno popotowatageno tachinikeriの韻が見事でリズミカルであるとか。母音の並びに絶妙な調べがあるとか。そんな御託はこの一句に必要ありません。くだらない分析はやめてタンポポの咲く春の野原に出てれば、春風が肌に当たる感触も、若葉の青い香も、山鳥のさえずりも聞こえてきます。
正岡子規は写生を唱えました。心を空っぽにして自然に浸れば言葉の17音が生まれます。季語なんか探さないでも、自ずと17音に入っています。見て触れて感じて聞いて・・・。自然は言葉に満ちています。