あるダイコン役者達の肖像 | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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Portrait of lousy actors

Unknwon painter

 

 誰が書いたのか作者未詳のダイコン役者たちの肖像画。英語ではしらみだらけの俳優だとか、日本語では大根の白色のようにド素人で白けた役者だとか、まったくひどい表現をします。ポートレートの中に出てくる役者達の表情は、もうそれだけで物語が始まりそうな迫力。いったいどこを見つめているのでしょうか? 口元に置いた手はどんな感情を表しているのでしょうか。何が起こっているのか? 描かれた人物だけで想像力をかき立てられます。彼女の存在から醸し出される雰囲気が一本の台詞を一昼夜で完成させてしまいそうな趣。人物は赤色にいつの間にか融けています。

 

 役者にとって赤はどんな意味を持っているのでしょうか。BC458年、アイスキュロスがアガメムノンを書きました。古代ギリシャの悲劇三部作の一つです。トロイ戦争から凱旋したアガメムノンは夫への憎しみを募らせる妻からレッドカーペットを通るよう勧められます。彼は「そのような道を歩けるのは神々だけだ」と言って断りました。これがレッドカーペットの最古の記録です。

 

 ということで、レッドカーペットは古代ギリシアでは、人は歩かないものだと考えられていたようです。でも、これが復活したのは人間の歴史から言えばつい最近の1902年のことで、ニューヨークの超豪華特急「20世紀鉄道」でお客様のもてなしに敷いたのが始まり。直近と言えば、アメリカロサンゼルスで行われる映画の祭典、第93回アカデミー賞が4月26日に開催されます。いったいだれがレッドカーペットを歩くのでしょう。残念ながら今回は日本からのノミネートはないようです。いつかポートレートの人物もここを歩くことになるのかも。