マイクロツーリズム 終着駅という言葉は美しい 名松線家城駅から三多気の桜坂 | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 城のある街松阪駅から名松線に乗って終着駅の家城まで行ったことがあった。別に目的はない。終着駅という響きが美しいと思ったから。右も左も山ばかり。緑の中を走っているようなもの。

 

 終着駅の家城に着いた。何があるわけでもない。津市家城は映画「ウッドジョブ」の舞台になった所。それにしてもよく整備してある。

 

 駅前は車もほとんど通らない。人が道の真ん中を歩いていても違和感がない。道路の突き当たりに見えるのは、レンタサイクルのお店。お店と行っても電動アシスト自転車を無料で貸してくれる。半日なら3000円ほどはする料金もここでは無料。住民協議会の人たちがボランティアで運営している。

 

 少し歩くと酒蔵がある。平成、令和と年号は変わってもここは昭和のたたずまい。看板は七宝でできている。これってかなりの骨董的価値がある。

 

 電動アシスト自転車を貸してもらって、三多気の桜を見に来た。この時期は夏の盛りだった。桜坂には山桜が植えてある。桜は葉桜でその下にはアジサイの花が咲いている。

 

 桜坂の途中には茅葺きの古民家がある。電動アシスト自転車はパナソニック製でよく走る。こんな自転車、見も知らぬ人によく貸してくれたものだ。急坂もすいすい上っていく。棚田に茅葺きとは風情がある。ここは昭和と言うよりも日本の原風景が残っている数少ない所なのかも知れない。

 

 奥の院に向かう石段には紅葉が植えてある。七月なのに紅く染まって落葉している。落葉したらこんなに紅葉するのだろうか。苔むした石段は夏なのに涼しい。

 

 

 桜坂の終わりには寺がある。娚杉を通って朱門をくぐる。桜坂なのだからご本尊はきっと蔵王権現だろう。果たしてそうだった。

 

 桜の季節にはこんな感じになる。桜の名所百選に指定されている。カメラマンが大挙してやってくる。

 

 桜祭りの日は猿回しや屋台がででにぎやか。年中静かな村は一大観光地に変わる。

 

 桜坂の途中に不思議な桜の木がある。桜の木の随が朽ちて皮だけで立っている大樹が一本。全く枯れていない。今でも季節になると素晴らしく花を咲かせる。樹の一生なら黄昏のような季節を迎えているのだろう。まだ春浅い朝、葉を完全に散らした大木を見たことがある。樹が桜色に染まっているのだ。桜は木全体で夏を盛り、秋を越え、冬を忍び、桜全体で花びらを桜色に充填しようとしていたのだろう。そして、桜の季節になれば爆発的に桜色に萌える。あの桜色も萌え出すエルルギーもみんな一年を掛けて木全体で溜めてきたものなのだ。津市美杉はどの季節に来ても新しい発見がある。それは日本の原風景が静謐と沈黙の中で教えてくれる新しい気づきなのだろう。

 

 

 勝手にシネマ解説と行きたいところですが、この作品は見ていないのでスルーします。昭和の頃までは、疲れるとマムシを捕ってきてマムシどんぶりを食べたそうです。「美味しいか」と尋ねたら、「美味しい物ではない」と言われました。精力はつくようです。