雨上がりの朝の棚田は晴れやか。空も田んぼも青と緑。真っ白な朝霧が雲になろうとしている。
朝日が昇ったら狭い谷の家の陰が田んぼに長く伸びた。
昨日の雨で棚田に水たまりができた。刈り取られた稲株から緑の芽が出て、逆さに前の山が映る。
小鳥の落とし物。夜が明けると小鳥が棚田にやってくる。夏に光合成したデンプンがここかしこに落ちてる。刈り取りが終わった棚田はご馳走がいっぱい落ちている。
朝顔が咲いている。猛暑だった夏は終わり、秋なのにまだ咲いてる。
オシロイバナも毎朝ここぞと咲いてる。猛暑の夏も毎日のようにわんさか咲いた。そんなに咲いてどうするのか。
薔薇の木に気の早い蓑虫が冬支度をした。このまま冬を越そうとするのか。目覚めたら春。蓑の中は春の夢でつまってるのかな。
朝露がラムズイヤーに結んで朝日に輝いてる。名前のように子羊の耳の産毛の上に透明で結晶した貴石が乗ってる。朝日が照らしだしたら消えてしまった。