奈良県の秘湯といえば洞川温泉。修験道の山上が岳の麓にある山岳宗教都市。町を歩いていたら亀清という魚屋さんがあった。いい香りがしている。
鮎やイワナにアマゴを焼いている。香ばしい香りがしている。今の季節は何と言っても子持ち鮎。体の半分は鮎の卵でぎっしり。これを目的に県外から観光客がやってくる。
主人がサーモントラウトや鯖の酢漬を出してきた。お魚をほぐした佃煮は四種類。こんなの頼んでいませんと言うと、「これはサービス」をと答える。こんな美味しいの居酒屋で頼んだら一皿500円はする。ちなみに子持ち鮎は850円、他の焼き魚は500円ちょっと。鯖寿司は一個100円。
あまりに美味しかったので調子に乗って、向かいの名水豆腐のお店であげと豆腐を買った。これまた美味しい。もっと買ったらよかった。
竜泉寺に行く途中の川でマスが泳いでいる。1m近くなるのもゆうゆうと泳いでいる。だれも捕ったりはしない。近くの人が餌付けしたらしい。
洞川は修験道の根本道場のある山上が岳の山伏をもてなす街として栄えた。メインストリートには老舗の旅館がある。温泉の泉質は最高。
役行者が調服した鬼が2人いて、男を前鬼、女を後鬼と言った。2人は大峰山で修行する行者達の世話をすることになった。その子孫が今でも前鬼には宿坊を構えている。キリシタン伝来の頃、イエズス会宣教師ルイス・フロイスが日本史の中で、「大峰には悪魔と交わりをする鬼がいて、様々な儀式を行って人々を惑わしている。」とローマに報告している。憤怒の形相の蔵王権現や役行者を見たら、確かに悪魔に見えたかも知れない。乱れた世の中で人々を悟りに導こうとする仏の強い意志の表れが憤怒の形相を祈りだした。最近、ここにも外国人がやってくるようになった。日本古来の信仰を求めて西の覗で捨身の修行をするディープな外国人もいる。
それはそれとして、焼き魚に豆腐に温泉と、洞川の恵みを堪能した一日だった。