モグラの太郎 えらい雨やったのお。
モグラの花子 久しぶりの雨でしたね。三月も三寒四温の時期がなくて春が来たから、久しぶりの雨。
モグラの太郎 田んぼに水がたまってしもおた。
モグラの花子 新緑がきれい。田んぼの水面にそれが映って二倍美しい。
モグラの太郎 こないだは虹が架かってて、田んぼにも映ってた。
モグラの花子 春は二倍美しい季節です。
モグラの太郎 オケラが台所までやって来てくれるので、満腹や。
モグラの花子 ミミズも勝手にやって来てくれるからお料理も楽。
モグラの太郎 何かブウブウいう豚のでっかいのが田んぼで回っていて、水をかきまわしとる。
モグラの花子 あれはトラクターっていうらしいです。昔は牛で鋤いていたようですよ。
モグラの太郎 その豚って、燃える水を飲んで耕しとった。
モグラの花子 あれは軽油という燃料らしいです。
モグラの太郎 この前、寝室がかき回されて、寝とったら水が浸水してきた。
モグラの花子 田んぼを泳ぎ回って、何とか助かりました。
モグラの太郎 地蔵坂の小径にカエルがいっぱい上陸しとる。うるさてかなわん。
モグラの花子 春ですから。
モグラの太郎 トンビが飛んどる。
モグラの花子 頭、隠さないと餌になりますよ。
モグラの太郎 トンビさん、わしをアンドロメダまで、連れてってくれ。
トンビ アンドロメダどころか、百万億土まで連れてったろ。
モグラの太郎 そんならお願いします。
モグラの花子 だめですよ。あれは嘘です。百万億土まで連れてかれたらあの世ですよ。
モグラの太郎 オレを餌にするつもりか。
トンビ ばれたか。
モグラの花子 気をつけてください。詐欺師は、サギだけではないですから。
モグラの太郎 今年も田金魚、泳ぐかな。
モグラの花子 真っ白な泡の玉がありましたから、きっと泳ぐでしょう。
モグラの太郎 今年も豊作かな。東の空にサソリ座が昇ってきた。
モグラの花子 夏も近いですね。
モグラの太郎 地蔵坂、まっすぐやな。
モグラの花子 いつまでもこの景色、続くといいですね。
モグラの太郎 今年も天の川、田んぼに映るかな。
モグラの花子 天にも田んぼの水面にも流れますよ。だって銀河っていうから。
モグラの太郎 ホオタルさんも銀河の上を飛ぶんやね。
モグラの花子 織り姫様や牽牛様も水面に映りますよ。
モグラの太郎 春もいいなあ。夏もいいなあ。
モグラの花子 でもそれは早苗の時だけ。夏の星座は日付が変わらないとね。
モグラの太郎 もう眠もい。
モグラの花子 眠い眠い。