熊本では地震が起こっています。地震はなぜ起こるのでしょうか。赤い線は中央構造線で断層です。宇宙から見てもよく分かるのは、和歌山県の和泉山脈から四国の讃岐山脈、佐多岬半島を横切るまっすぐに伸びた中央構造線です。
これは中央構造線が露出した物です。右下には黒色片岩と言って黒色の紙のように薄く砕ける岩があります。その上にはマイロナイトという茶色をした岩が乗っかっています。さらに花崗岩へと続きます。花崗岩は結晶が荒いので建築材料として使われています。御影石のような美しい岩です。ここは奈良県と三重県の県境月出に見られるものです。この中央構造線、毎年、少しずつ動いているようです。奈良県の高見山から西の中央構造線は1000年で5m動きます。つまり、毎年5mmずれているということ。ずれるということは、莫大なエネルギーが地中にため込まれていると言うことです。中央構造線は千年に一回動きます。こ断層が動いたとき、蓄積されたエネルギーが放出されるとき地震が起こります。今から400年前の慶長年間に起こった伊予・伏見地震です。
これは、三重県を流れる櫛田川です。橋の中央には茶色のマイロナイトがあります。この手前は黒色片岩しかありません。マイロナイトは400mほどの幅があり、その北側は花崗岩です。黒色片岩と花崗岩は全く別のものです。マイロナイトを見れば、そこは中央構造線のマーカーだということもできます。櫛田川は、マイロナイトを中心に南側に黒色片岩、北側に花崗岩が分布します。今もずれ動く中央構造線、日本列島は南北に引き裂かれつつあると言うことができます。でも、これは日本列島ができる造山運動でもありました。私たちはこの上に住まわせてもらっているのですから。
どうしたら地震から身を守ることができるのか。地震を克服するにはどうしたらいいのか。この風景を見ていると、克服するなんて人間にはとうてい無理なような気がしてきます。なんとか地震をなだめて、すかして、地震列島の上でどう生活したらよいのか。それは、自然と共生するお作法のようなものに見えてきます。そのお作法が分かれば、災害を最小限にくいとめることができるのでしょう。今も動き続く中央構造線。人には計り知れないエネルギーを今日も蓄えています。その中で私たちは、何ができて何をすべきか、ここから深く学び取りたいと思います。