ロバさんがおもむろにスケッチブックを取り出して、水彩絵の具で一気に描き上げました。今日は雨、この桜の花も散っていることでしょう。桜は冬に樹皮にピンク色の色素をためます。長い冬、桜は木全体で桜色になろうとしているのでしょう。それが春、桜の花びらを萌え出るように桜色を着色します。よく考えたらキャンバスにピンク色を染めるのもそれと同じような物です。絵はその人の心に映った風景なのだと思います。その人に生まれた心象風景が真っ白な紙に着色される。ロバさんはきっとこのように見えているのでしょうね。
「花より団子」って言葉がありますが、吉野は葛菓子の名所です。吉野山の葛の根をさらしてデンプンを取ります。それが吉野葛。くず粉と砂糖でできたシンプルな菓子は、伝統の味です。形は白や薄紅色の桜の花と、桜の葉っぱです。これに桜の葉っぱでお餅をくるんだ桜餅を食べれば、吉野を食い尽くしたことになります。お昼ご飯は柿の葉寿司、メイン通りを歩いて小腹が減れば草餅と桜餅です。
ちょっと足を伸ばして、桜井市まで行ってきました。お目当てはたこ焼きとラーメンです。これは彩華ラーメンです。唐辛子とたっぷりな白菜とニンニクで醤油の濃い味。一度食べたらまた来たくなります。天理ラーメンとして有名です。ラーメンと言えば、モヤシですがこの白菜が辛いスープとよく合います。たこ焼きは大阪に近いだけあって、お味は最高。近鉄桜井駅の前にあります。
結局、この日に食べたメニューはこの通りです。吉野は美味しい物ばかりです。10km以上あるいたげと、それ以上にカロリーを取りすぎです。反省!
これから吉野は、修行の季節になります。5月3日は山上ヶ岳で戸開式があり、百日勤行が始まり、峰入が行われます。今、蔵王堂の秘仏が御開帳されています。いつもならお姿を見ることはできませんが、5月初めまで公開中です。中央に釈迦如来、右側に千手観音、左側に弥勒菩薩、三体とも巨大な仏様です。釈迦如来は過去を救い、千手観音は現世を救い、弥勒菩薩は未来を救済する。三体拝せば、過去・現在・未来も救われるという。この三位一体になられた神が金剛蔵王大権現です。この春、しばし俗世界を離れて、秘仏の前で過去を振り返り、現在を想い巡らし、未来に想いをはせるのもいいのでは。
憤怒のお姿をしていらっしゃるのは、乱れた世の中をただすため。怒りは悟りがたい私たちを戒めて悟りに向かわせる仏の慈悲を表しています。巨大秘仏は、見る人を圧倒します。この前にひざまずけば、吉野の仏達はどんなメッセージをみなさんに届けようとするのでしょうか。