さて、選手のミス一つ一つについて、試合中に監督ができることは限られている、ということはお話ししました。
だからこそ、試合後のミーティング、というのがすごく重要になってくるわけです。
もしくは、普段の練習から、一つ一つのミスについて対応しなければならない、ということになります。
まず、気になったミスについて、選手本人が第1段階~第3三段階のどこでミスをしたと認識しているのかを確認しなければなりません。
ですから、例えば、ダブルスで、こちらの後衛からのストロークが、何回も相手前衛にボレーで決められてしまった場合、
「なんで、何回も相手前衛にとられたと思う?」
という「質問」から入らざるを得ません。
その上で、どの段階でのミスなのかを、聞き出します。
ダブルスにおいて、相手前衛に次々とボレーが打たれるような状況には、いくつか原因については「ミスの原因」シリーズでお話ししていますので、そちらをお読みください。
もし、相手前衛の立ち位置がもともと、サイドがガラ空きになってるぐらい中央に寄っていたため、簡単にボレーされていたのに、選手が気づいていなかったのであれば、第1段階のミス、ということになります。
それが分かっていた上で、それでもサイドを抜く勇気がなかったり、それでも取られないだろうと、安易にクロス方向に中途半端な速度や高さでストロークを打っていたのであれば、それは第2段階のミス。
相手前衛の取られないようなロブを打とうとしていたんだけど、ボールがそれほど高くならなかったり、サイドを抜こうとしたんだけど、前衛の正面にいったのであれば、それは第3段階でのミス、ということになるわけです。
これらを、選手に確認させる(選手が認識する)必要があるのです。
多くの選手は、相手前衛にストロークをボレーされると、第3段階のミスであると思ってしまいます。
そもそも、状況の把握ができていない選手や、適切な選択ができなかった選手が、自分のミスがどの段階に引き起こされたものか判断できるはずもない(笑)。
そこはやはり、顧問や監督が、どういう状況であったのかを客観的に分析するしかありません。
もちろん、本来は選手自身や、最低でもダブルスのパートナーが、できるに越したことはありませんが。
相手前衛が中央に寄っていることを把握できていなかったり、適切な対応を選択できなかったのであれば、さらに、それが「なぜか」を突き詰めないといけません。
心理的に追い込まれていたのか、ただ単に適切な注意集中を向けられなかっただけか。
ロブが苦手だから打てなかったのか。
相手のショットが速かったからサイドを抜けないと判断したのか、それとも、ただミスをビビっただけか。
高度な選択ミスでいえば、例えばサッカーのパスを出すミスをした場合、AとBの2つのパスコースを把握することができたとして、この2つの中であれば、もちろんAのパスコースがベターな選択だったんだけど、実はCコースに気づいてなかっただけなんだ、なんていうのもあり得るわけです。
ここら辺を、1回1回、練習で何回も繰り返し確認していくしかないのです。
第3段階:技術的なミス、についても、注意が必要です。
第2段階の選択のミス、と密接に関わってくるからです。
例えば、相手のショットが比較的短くゆるいロブで、それを回り込んで、相手のバック側が大きくあいていたので、逆サイドに打とうとしたのだけれど、ミスをしてしまった、とします。
このとき、状況把握も選択としても、決して間違っていない。
しかし、客観的に見て選択が合っていたとしても、その選手がそもそも回り込んで逆サイドに打つ技術に乏しかったら、選んではいけない選択だった、ということになります。
よくあるのは、打てもしないのにガンガン打ち込むこと。
これは「技術が未熟」であるにも関わらず「高度な戦術」を選択してしまった、ということになるので、技術ミスである以上に、選択ミスであった、ということになる。
こういうミスをしたときに、素振りをしながら、
「こういう風に振れば良かったなぁ」
って反省している選手はダメなのです。
そもそも、その技術がない人は、選んじゃいけないショットなんだから。
ここら辺の見極めも普段の練習で選手自身がしておかなければいけませんし、監督も選手一人一人の技能を把握していないといけません。
【次回へ続く】