実は今回、チームビルディングについて話をしたのは、うちとは別の部活内で、人間関係の問題が起こったために、考察をしてみたのです。

 

 そのチームのキャプテンを務めるAさんは、競技経験者でもあるんですが、後輩に求めるレベルがはっきりしており、ふがいないプレイについて意見を言うことが多い。

 

 ただ、言い方が少しきつめに映ることが多く、いわゆる「ミスを指摘して終わり」という状況になることが多いのです。

 

 一部の後輩が、そのキツい言い方に萎縮してしまっていて、人間関係が崩れかけている、という、まさにC象限からD象限にスライドしかかっている状態

 

 そこで、その部活動の正顧問の先生と副顧問の先生が話をしているのを、たまたま聞いたのですが、その中で、副顧問の先生が、

 

「いざとなったら、私が悪者になって『嫌われ者』になれば、生徒はまとまるんじゃないですか?

 

 みたいな、かっこつけた感じで言っていたんです。

 

 僕が心の中で、

 

(いやいや……あなたは、もともと部員から嫌われているから、効果は無いよ…

 

 って思ってしまったのは内緒です(笑)

 

 正顧問の先生は、今年から替わったのですが、副顧問の先生は2年連続。

 

 実は去年は、その副顧問と生徒との間の人間関係が少し崩れてしまっていて、それがきっかけで部活動の雰囲気も悪くなりがちで、顧問の先生が生徒から相談を受ける、ということがあったぐらい。

 

 そのときも、その副顧問の先生は、

 

いや、私が嫌われ者になって解決するんなら、それでいいんですよ

 

 みたいにまたかっこつけて言ってたらしく(笑)。

 

 この「生徒どうしが仲が悪くなるぐらいなら、顧問が仮想敵国のようになって、生徒の団結を促す」という考え方は、部顧問になると覚悟しなければいけないものになります。

 

 しかし、そんな安直にできるものじゃない

 

 いや、それよりもなによりも、あなたが悪者になって、で、どうするの?(笑)

 

 具体策の「ぐ」の字もない。

 

 この手法は、四象限マトリクスの右方向への移行をわずかに「促す」だけであって、それで何かが解決するわけではないのです。

 

 そもそも、今回の副顧問の先生のように、すでに嫌われていたら、効果がないですし(笑)。

 

 結果として起こることはありますし、顧問は常に覚悟していなければいけませんが、狙ってするものじゃない。

 

 それができる技量があるなら、そもそもチームがD象限などに落ち込むようなことはないのですから。

 

 しかも、ただ単にマトリクスの右側方向に戻すならなんとでもなるのでしょうが、しかし、それができたとて、キャプテンであるAさんの思いが解決できたわけではありません

 

 また、顧問と選手との関係がD象限になったままでは、本当の意味での移行とは言えない。

 

 チームが「良くなった」わけではないのです。

 

 それよりは、これを機に、チームメイト同士での話し合いを進め(B象限になることを恐れず)、後輩の思いも、Aさんに理解させることの方が優先です。

 

 それこそが「意見の交換」なのですから。

 

 顧問が嫌われてもなんととかなるのは、顧問がその競技におけるエキスパートであるときだけです。

 

 そんな顧問は、一般の高校部活動にはそうそういません。

 

 特に、普段の練習指導ができないような顧問は、安易に飛びつかないようにしましょう。

 

──

 

 さて、いかがでしたでしょうか?

 

 もともとは、新入部員が入ってくる春先にアップできる内容を書きためていたのですが、毎年のようにアップするのを忘れてしまうので、この時期に投稿してしまいました(笑)。

 

 新入部員が入ってきたときに、すでに「良いチーム」であったほうが、チームビルディングは早くすみますから、これを読んでくださっている、まだ部顧問に慣れていない先生方や保護者の方は、生徒たちが部活動で何を得ていくのか、考えるきっかけにしていただければなぁ、と思います。