テニスのフォームなどを生徒に教えるとき、いろいろなプロのフォームをテニス雑誌やYouTubeなどに上がっている動画などを参考に教えるのですが、このとき、自分の理論の中に取り入れることとして、次の3点があります。

 

1.科学的な理論にかなっていること

2.実践可能なこと

3.格好良いこと

 

 1.は当然のこととして、まず2.の見極めが難しい。

 

 よく言われるのが「フェデラーのフォームを真似しておけば良い」というような極端な考え方です。

 

 これは、これまで僕もブログのコメントなどで何回か言われたことがあって(笑)、

 

「フェデラーのフォームを真似しておけば、間違いは無い」

 

「それを真似してもうまくいかないのは、修練が足りないだけ」

 

 というものです。

 

 素人にテニスを教えるときには「全ての人が真似できるわけじゃない」ということそのものが、その理論の「欠点」であるはずなのですが(笑)、それは理解してもらえません。

 

 特にうちの高校などでは、初心者で入ってくる生徒も多く、数ヶ月の間に、一端のテニスプレイヤーに育て上げる必要があります。

 

「4年取り組めばものにできる」」

 

 なんていう動きを参考にするわけにはいかないわけです。

 

 プロの「エッセンス」のなかでも、どの部分がすぐに参考にすることができ、どの部分が習得に時間がかかるのか、を見極める必要があります。

 

 これを間違えると、

 

「いくら経ってもうまくならない」

 

 ということになりかねません。

 

 具体的な例でいえば、サーブでの「薄いグリップ」と「プロネーションを主体とした腕のひねり」の関係です。

 

 これに関しては、初心者の選手のほうが上手く習得しやすく、逆に、ソフトテニス経験者のほうが修正に時間がかかったり、修正できないまま終わる、っていうことが良くあります。

 

 下手をすると、今まで安定したサーブを打てていた選手に、数ヶ月間、全くサーブが入らない時期を経験させることにもなりかねず、実質2年数ヶ月しかない高校部活動の中でやるべきなのか、悩みどころではあります。

 

 これも含めて、どこまでを選手に求めるのか、どこまで取り組ませるのか、というのはコーチの腕の見せ所、ということになるのです。

 

 問題は「3.格好良いこと」

 

 僕にとっては、これが結構大事(笑)。

 

 生徒に教えるときにも、

 

「こうやって打つと格好良い」

 

 という言い方で教えることがよくあります。

 

 もちろん、それは、理論にかなった上で、ですが。

 

 よくウェブサイトやYouTubeでは、独自の理論を披露しているコーチの方が多くいます

 

 そのなかで、理論に全くかなっていないのは問題外として、正直「かっこ悪い」フォームを推奨しているものが結構ある

 

 いや、例えば、あるコーチが

 

「フェデラーのこういうところを参考にしましょう」

 

 というふうに格好良いフォームを推奨しながら、コーチ自身は実践できていない──コーチ自身のフォームは、

 

(どこがフェデラー を参考にしたの?)

 

 みたいにカッコ悪い、っていうのは、僕的には全然いいんです。

 

 フェデラーじゃないんだから(笑)。

 

 僕もこれだし(笑)

 

 問題なのは、それらプロのフォームなどを自分なりに昇華した上で、

 

「どこをどう曲解すると、そんなふうにスウィングする理論としてまとめられるの?」

 

 っていうようなやつ。

 

 たしかに安定感はあるのかもしれない。

 

 楽に打てるのかもしれない。

 

 でも、、、、いくらなんでも、かっこ悪くない?っていう(笑)。

 

 しかも、その打ち方では試合には「粘る」ことでしか勝てないよ、っていう。

 

 そういうサイトやYouTubeに限って、いわゆる「信者」と呼べるぐらいの熱狂的な視聴者がいて、あまり大声でいうと攻撃されちゃうので言わないようにしているんですが。

 

【次回へ続く】