ちょっと間が空いてしまいましたが、テニスに必要な「力」についての続きを。
前回お話しした③の「持久力」についても、細かく見ないといけません。
まず脚力や腕の力など、実際の骨格筋に疲労物質がたまり、動きづらくなる、いわゆる「筋持久力」。
この場合の「持久力がない」というのは、最大筋力が落ちたり、瞬発力が発揮できなくなったり、繰り返しの運動ができなくなったりするタイミングが早いことです。
テニスで言えば、練習や試合の早い段階で、ダッシュ(移動)が遅くなる、、踏ん張りがきかなくなる、またはサーブやストロークなどの、ショットが遅くなったり、連続で打つとミスをしやすくなったりする状態です。
それに加えて、長時間の運動によって息が上がり、運動能力が著しく低下する「心肺持久力」もあります。
ここも非常に難しくて、一般的にはまず「筋持久力」があって、それが「心肺持久力」に維持されている、という感じです。
心肺機能はまだまだ大丈夫なのに、足がつってしまったり、腕が重くて上がらなくなる、ということはよくあります。
さらに、息が上がって心肺機能が低下すると、全身への酸素供給量が低下し、結果、筋持久力が低下するということがよくあります。
それぞれは、骨格筋と循環器系という全く別器官でありながら、でも密接に連携しているため、トレーニングの仕方も工夫しなければいけません。
まず筋持久力。
これをよく勘違いされるのですが、筋持久力は一定の「最大筋力」と「瞬発力」があることが前提になります。
一定の「最大筋力」と「瞬発力」を長時間維持し続けること、を筋持久力の目的としてトレーニングしなければならない。
筋持久力をつけるだけであれば、低負荷で高回数のトレーニングが効果的、とよく言われるのですが、このトレーニングだけでは、最大筋力や瞬発力の向上はわずかです。
しかし、最大筋力や瞬発力が低いままだと、相手の速いショットを打ち返すために、結局より多くの余計な力が必要になったり、1歩1歩の移動速度が遅いせいでショットを打つたびに余計な1歩や急激な踏ん張りが必要になったりしてしまい、持久力の意味がなくなってしまいます。
心肺持久力のトレーニングも、この筋持久力のトレーニングと密接に関わります。
単純に「心肺持久力」の向上だけを考えると、いわゆる「長距離走」の効果は非常に高いと思います。
ただ「部活で行うトレーニング その12 下半身トレーニング①」の内容とも重複しますが、いくら効果の高いトレーニングとはいえ、そのトレーニングに要する時間が長くなりがちです。
これも何度も言いますが、あくまでも「費用対効果」が低い、と感じるわけです。
長距離走でのトレーニングでは、より効果を出そうとすればするほど、距離も長くなり、時間も要します。
さらにテニスで繰り返す「ストップ&ゴー」に必要な脚力は、長距離走で培われる脚力とはちょっと違うため、どちらにせよ別の下半身メニューをプラスアルファで行わなければいけません。
それならば、コート幅でのシャトルランやHIITなどで「ストップ&ゴー」に必要な脚力のトレーニングを兼ねたものをおこなって最大酸素摂取量を向上させることで、心肺持久力をあげていった方が効率がよいことになりますから。
ここで注意しなければいけないのは、
「テニスには(持久力よりも)瞬発力のほうが重要だ」
「テニスには(瞬発力よりも)持久力こそが大切だ」
と書いてある、そこらへんの教則本やネットの情報をそのまま鵜呑みにしてはいけないということです。
「『自分にとっては』どんな『力』を向上させるとよりよいテニスができるようになるか」
という観点を持たないといけません。
テニスを繰り返すことで、より良いショットを、しかも何回も打つにはどうしたらよいか、そこらへんのバランスを、身体と相談するようにしましょう。
【次回へ続く】