昨今「働き方改革」が声高にさけばれたおかげで、仕事を減らすことそのものがかなりやりやすくなりました。

 

 一方、部活動顧問としては、肩身の狭い思いをしている先生方も多いようです。

 

 ここで、一つ、僕の見え方というか、働き方改革についての現場から見た印象をまとめておきたいと思います。

 

 あくまでの「現時点で」のことですから、情勢が変わったり法律が変わったりすれば、見え方も印象も変わってくるとは思います。

 

 まず、働き方改革の一環として、部活動がやり玉に挙げられることが多いのですが、ここで一番問題になるのは、議論の振り幅があまりにも大きすぎることです。

 

「現状維持」か「部活動廃止」しか、議論に上ってこない(笑)。

 

 ネットなどで声を上げ、コメントを多量に打ち込む人に限って、考え方が極端なため、そういう論点でしか話が進まなくなってしまうのです。

 

 実際の現場では、決してそんなことはありません。

 

 少なくとも、地元にスポーツクラブやスポーツ施設が乏しい田舎の公立高校では、全く異なると思ってくれればいいと思います。

 

「持続可能性(サスティナビリティ)」を探り、工夫しながら、理想と現実との間に「落としどころ」を作り出すというのが、現場教員の「実態」なのです。

 

 ただ、僕も含めて、部活動に熱心な教員とそうでない教員との間には、お互いに「バイアス」がかかってしまっているのは確かです。

 

 ネットでは、

 

「部活動にかまけていると、教材研究がないがしろになって、一番大事な『授業』がおろそかになる」

 

 というイメージが広まっていますが……正直、僕の周りの教員は違います。

 

「部活に熱心じゃない教員に限って、授業も校務もポンコツ」

 

 という教員が、少なくとも僕の周りにはかなり多いのです。

 

「部活動をやって一人前」という言葉も、決して「プライベートを削ってでも学校に奉仕しろ」といっているのではなく、「てきぱきと仕事をこなす一人前の教員になれば、授業も部活も両立できる」という意味で、僕たちの先輩方は使っていた人が多いのです。

 

 現に、僕の先輩の多くは、授業でも成果を残し、部活動にも熱心で、さらにプライベートも充実している方々が多くいます。

 

 うちの学校で毎年のようにインターハイにいっている部活動の先生は、授業がわかりやすいこともでも生徒に信頼されている人ですし、校務でも誰よりも正確にテキパキとやってくれる。

 

 だからこそ、僕は自分もそうありたいと思っているのです。

 

 部活動賛成派も反対派も、お互いがお互いのことを「ポンコツ」だと思っているうちは、たぶん、解決の糸口さえも見つからないのです。

 

 たとえば、このツイート。

 

https://twitter.com/barbeejill3/status/1156118398821998592

 

 

 これを見て、ツイート主である「合法先生」は、

 

「こんな部活動はけしからん!」

 

 ってお考えなのでしょうが、リツイートでも書いたのですが、僕なら、

 

「ああ、この顧問、2回戦ぐらいで負けて大会2,3日目で終わっちゃうから、ちょうどお盆に重なる残り10日以上は休みにしよう、って『覚悟』してるんだろうなぁ」

 

 って思っちゃうわけです(笑)。

 

 合法先生は、この画像を送ってきた中学生に、ちゃんとそこまでリサーチをしてから画像を乗せたのかな?、と。

 

 自分の主張を「裏付け」するのにちょうどいい画像を選んだんじゃないですよね?、と。

 

 もうここは、それぞれの教員の経験を踏まえた想像でしかないのです。

 

 僕だって、全日本ジュニアに出場するような選手の顧問だったら、お盆の間に、あんなに惰眠をむさぼるようなことはしませんもの(笑)。

 

 特に、外の部活動は練習が天気に左右されます。

 

 このチームはどうかは全く分かりませんが、雨が降った時点で休み、または軽い運動、っていう部活も結構ある。

 

 この時期に多い台風などが来れば、もちろんまともな練習はできない。

 

 さらに、昼が長いこの時期は、練習の「かき入れ時」であるというのも十分理解できる。

 

 冬場はどうせ授業が終わった頃には空も薄暗く、地域によっては積雪でまともな練習もできない期間が数ヶ月にもわたって続きます。

 

 それを、一律に、年間を通して均等な練習をしろ、というほうが現実的ではないのです。

 

 また、うちのチームなんかは、生徒の申し出があれば、基本的にいつでも休めます。

 

 田舎の学校なので、親戚が多く集まる日なので練習に行けない、っていうこともよくありますし、稲刈りがあるので行けない、なんてこともある。

 

 ライブに行くので休む、というのもOKです。

 

 実際には、生徒自身がしっかりと考えて、大会の日程にかぶらないように予定を組み、ダブルスのパートナーに迷惑にならないように、そして自分自身が上手くなるようにできるだけ多くの練習に出られるよう工夫してくれます。

 

 なので、生徒一人一人の「休息日」で考えればかなり休めている。

 

 これも、チームとして統一の休みをとらなければならない、っていう杓子定規なことをされると、逆に生徒の参加を強制する日が増えることになってしまうのです。

 

 これも「統一的なルールを作らないと、際限なしにやってしまうチームがある」と思われているのが原因です。

 

 一部の訳なし顧問のせいで、なんでこれまで自由にやっていた僕たちまで、ルールにがんじがらめにされないといけないのか。。。

 

 もう一度、現場の実態に合ったルール作りをしてくれないでしょうかね?