大会などが立て続き、なかなか更新できない日が続いておりました。
また、お盆休みに、ゆっくりと更新していきたいと思います。
4.スライディング(ストローク)
これも、なかなか素人が手を出すのは難しい分野になります。
部活の顧問をしていると、ソフトテニス経験者が入ってくるときに、かなりの割合でスライディングを多用します。
土のコートやオムニコートがメインである場合が多いからです。
今年のフレンチオープンでも、大坂なおみ選手が、クレーコート特有のフットワークを習得できているのか、ということに注目している記事もありましたね。
確かに、スライディングが便利な場面もあるにはあるのですが、それを「必須の技術」としてしまっていいのかな、とも思うのです。
まず、ハードコートの問題があります。
ジョコビッチのような特殊な選手でない限り(笑)、ハードコートでのスライディングは危険でしかありません。
おそらく皆さんの多くも、ハードコートでのスライディングを想定した練習はしていないはずです。
となると、砂入り人工芝コートやクレーコートではスライディングをするけれど、ハードコートではスライディングをしない、というように、コートごとにフットワークを使い分けることにもなる。
ここで問題が発生します。
プロは、シーズンごとにクレーコートが多い時期(プレンチオープン前後や、北半球の夏)、芝の多い時期(ウィンブルドン前後)、というものがあり、それぞれ4大大会に向けての前哨戦として位置づけられている大会もあるぐらいです。
そして、そのサーフェスに合わせた練習を十分に行ってから試合に臨むことがほとんど。
あのナダルが、年始めの全豪オープンで、これまで1回しか優勝できていないのは、やはり本拠地のスペインでの調整が、結局はクレーコート中心にならざるを得ないからではないか、と思います。
それぐらい、プロでさえサーフェスへの対応が難しいなか、本当に素人である我々が、コートごとにフットワークを変えることができるのか、というのは疑問です。
実は、ジュニアでガンガンやっている選手の中には、砂入り人工芝コートでのスライディングを多用する選手が多くいます。
ただ、彼女たちは、小さい頃からの経験があり、スライディングと減速の具合をよく分かっている。
一方、あまり、慣れていない選手がそれらをやると失敗します(笑)。
スライディングによる減速がかかる一方、上半身は慣性の法則で進行方向に進もうとするため、腰から折れ曲がったような体勢になることが多くなるのです。
また、打った後に戻ることを優先しようとすると、打った瞬間には止まっていたくなり、そのためには打つ前からスライディングで減速をすることになるのですが、減速しているくせに追いつかない、っていうとんでもない現象が起こります。
もともと瞬発力がないからこそ、そんなギリギリのプレイになるわけですから、スライディングして減速する「贅沢」は許されないのです。
また、普段から砂入り人工芝コートでのプレイでのスライディングになれてしまうと、ハードコートでのフットワークがおろそかになります。
細かいフットワークを使った減速ができなくなるため、つんのめった感じになったり、疲労が溜まりやすくなったりすることになる。
基本的な練習のときには、スライディングに頼らないフットワークを身につけ、スライディングはあくまでも「オプション」として習得する、というのが、一般プレイヤーには現実的なのではないでしょうか?
いまだに僕も試行錯誤をしていて、一時は、ハードコートだけで練習をすると、そういうスライディングをしなくなるかと思っていたのですが、そうでもなく(笑)。
砂入り人工芝コートの「滑りやすさ」を経験した上で、そういう状況でもスライディングに安易に頼らない、という練習を組み入れる方が、良いフットワークになるのかなぁ、と最近思っています。
そして、スライディングをするにしても、最悪なのは、前方へのダッシュの後のスライディング、フォアハンドでのプレイの際に、右足でスライディンをする選手がいます。
これはダメです。
右手を振る関係上、軸足となる右足でスライディングした方がしっくりくる感覚も分からなくはないのですが、右足でスライディングを始めた途端、右足が左足よりも前に出る形になり、手首を使ったショットしか打てなくなる。
うちの選手にも、相手選手がそういうスライディングをした瞬間に、前方に詰めて準備するように言っているぐらいですから。
これだけは絶対にやめましょう。
【次回へ続く】