さらに、右利きのプレイヤーが、自分より左側に来たアプローチショットに対して、回り込んでパッシングショットを打つ場面、あり得ますよね?

この場合、センターに入ったときと比べても、ますます向かって右側──クロス方向が見えにくくなる。
その上、自コート右側に大きなオープンスペースが空くことになりますから、パッシングショットのミスが許されなくなります。
つまり、回り込むことそのものに大きなデメリットが生じることになるわけです。
それでも回り込むんでフォアハンドを打つのであれば、そのデメリットを補ってあまりあるショットでなければ意味が無い。
このときこそ「その12」でも言った、逆クロスへの速く、強いショットが有効になります。
というか、それが打てなければ、回り込む資格がない(笑)。
それを見せておいて、距離の短いストレートへの警戒を分散させる、ということができなければならないのです。
フォアに回り込んでおいてストレート方向へのショットしか打たない、とか、クロス方向にはバックハンドでも打てるような弱いショートクロスしか打たない、というのであれば、回り込みなんかせずに、バックハンドのままで良いじゃん、ってことです。
これもやはり「技術と戦術は直結する」というシングルスの考え方につながりますし、「その12」でお話した、回り込みフォアのあるべき姿、というものと同じ。
それほど、シングルスの戦術というのは、戦術そのものは非常にシンプルで、技術力に応じてオプションが増えていくものなのだ、ということですね。
「回り込みフォアから逆サイドへのショット」という一つの技術で、通常のラリーでも、パッシングショットにも応用できるわけで、これはそのほかの技術でも言えることです。
1つの技術を習得していけば、複数の場面で対応できるオプションを手に入れることになるのだ、と思ってください。
ダブルスの時にも同様の状況は良く起こります。
特に、右利きプレイヤーの後衛が、アドバンテージサイドから相手前衛のサイドにパッシングショットを打つときです。
もともと、クロスからきたショットをストレート方向にダウンザラインを狙うように強く打ち返すことが、初中級者はなかなか難しい上、バックハンドで打つときには、ボールよりも体がコート内側に位置するため、実際にはサイドが空いているにも関わらず狭く感じてしまい、なかなか打てなくなってしまう。
一方、もともと、クロス方向で待ち構えている分、回り込みの頻度も多くなります。
フォアに回り込むと一転、体が外側に位置することになるため、実際よりもサイドが広く見えてしまい、無謀なパッシングショットになってしまうこともあるわけです。
こればっかりは、客観的な視点で指導をしてもらうか、普段から、コート上の位置関係を、テレビゲームのように俯瞰したようなビジュアルに直すクセを持つようにしなければなりませんので、練習で指摘し合いましょう。
【次回へ続く】