3.いろいろなコール

 普段テニスをしているときには「アウト」「フォルト」「レット」ぐらいしか使わないのですが、何試合も主審を経験するといろんな状況が起きて、なんてコールをした方が良いのか分からない生徒も多く出ます。
 
 それらをご紹介しましょう。
 

① Not Up(ノット アップ)

 いわゆる、ツーバウンドでボールを打つことです。
 
 主審からは分かりにくいときもあるのですが、分かったときには即座にコールをしましょう。
 
 ちなみに、セルフジャッジの場合、2018年から相手コートで起こったいくつかの事象についても、こちらから確認やコールができるようになりました。
 
 ノットアップやレットなどがその代表です。
 
 意見が食い違った場合にはレフェリーを呼ぶしかありませんが、イン・アウトのセルフジャッジと同様、お互いを信頼し合うのがテニスですから、本来は無いにこしたことはないですね。
 

② Touch(タッチ)

 いわゆる「ネットタッチ」がこれに当たります。
 
 また、ボレーなどでラケットにボールがかすって後方に飛んでいったときもこれ。
 
 ボールが思わず体に触れた場合にもこれですし、帽子や予備のボールなど、持ち物を落とした場合にも「タッチ」とコールします。
 

③ Hindrance(ヒンダランス)

 いわゆる妨害行為へのコールです。
 
 声出しやサーブの時の大げさな動作など、あくまで主審の判断で妨害かどうかを決めます。
 
 故意の場合にはそのままポイントを失いますが、故意でない場合にはポイントレットです。
 
 よくあるのは、帽子などの落とし物をしたとき。
 
 この場合には、先ほどの「タッチ」と合わせてコールする場合が多く、故意でなくても2回目からはポイントを失いますので注意しましょう。
 
 ただし、ラケットなどを落としたときには、タッチやヒンダランスに当たらない場合が多くあります。
 
 ラケットを落とした方が圧倒的に不利だからです。
 
 これも、故意でない、というのが大前提ですが、ラケットが滑って飛んで言ってしまった、というときにはポイントレットにはならない、とだけ覚えておけば良いと思います。
 

④ Faul shot(ファウルショット)

 オーバーネットをしたときや、故意にボールを2度打ちしたときにコールされます。
 
 2度打ちは「故意に」行った場合だけ、ポイントを失います。
 
 一連の動作の中で、ラケットに2度当たるのは、ただただ下手なだけなので(笑)、ファウルショットにはなりません。
 
 また、オーバーネットは、ネットを越えた相手コート側でボールに触れた場合に適応されるもので、ネットを越えることそのものではありません。
 
 つまり、こちらのコート側でボールに触れ、フォロースルーでラケットがネットを越えることはOK。
 
 また有名なルールとして、バウンドしたボールに逆回転がかかっていて、ネットを越えて相手コート側に戻ってしまうときに限って、こちら側の選手はネットを越えてボールに触れても構わない、ということになっています。
 
 まあ、高校生の試合では1年に一度適応されるかどうかの珍しいケースです。
 

⑤ Through(スルー)

 ポールとネットの間にはわずかな隙間が生じます。
 
 本来なら、ネットについているヒモでポールと結びつけ、かなり隙間を狭くすることはできるのですが、それでもボール1個がギリギリ通れるぐらいの隙間は残ることが多いですし、古いネットだとうまく結べないことも多い。
 
 中には、ネットに穴が空いていることもあるので(笑)、注意が必要です。
 
 この場合「Through(スルー)」とコールし、ショットを打った側の失点にします。
 
 主審から見ていて、このコールが最も分かりにくいものになります。
 
 確率が限りなく低いくせに、気を抜いた頃に限って起こるっていう(笑)。
 
 上位大会になるほど、アングルに走らされた後に、鋭いショットでストレートのパッシングを狙ったり、選手によってはポールを巻き込んだショットを狙ったりするので、生じる確率が上がります。
 
 審判に入った生徒は、見たことが無いようなショットでしょうから(笑)、分かるわけが無い。
 
 うちのチームでは、たまーに僕がわざと巻き込みショットを狙います。
 
 もちろん、通り抜けることはありませんが(笑)、その都度、ルールの説明とともに注意を喚起するようにしています。
 
 またこれも、ボールが隣コートから転がってきたときの「レット」と同じで、対戦プレイヤーどうし、双方の合意で宣告できるようになりました。
 
 以前「グダグダになった原因は僕です」で紹介したような状況は、うまくすればなくなる、ということになります。
 
【次回へ続く】