「声出しのルール」ともかかわるのですが、「声出し」とはちょっと趣旨が異なるので、別記事として書きたいと思います。
 
 部活動などで、顧問の言葉に対して、選手全員が元気よく、
 
「ハイ!」
 
 って答えてる場面、よく見ますよね?
 
 しかも、全員声がピッタリ合ってる感じのやつ。
 
 あれ、うちのチームではないんです(笑)。
 
 僕が求めてないから。
 
 ああいうのって、監督の指導が入っていることが多いんです。
 
 少なくとも、それを「伝統」としている。
 
 こういう「返事」って、次のような数式が成り立つように「見える」のです。
 
「『ハイ!』という大きな返事=活気がある触れるチーム」
 
「『ハイ!』という大きな返事=顧問の高い統率力or威厳」
 
「『ハイ!』という大きな返事=選手が監督の言葉をしっかり聞いている」
 
「『ハイ!』という大きな返事=挨拶などの教育的な指導ができているチーム」
 
 やはりこれも「声出し」と共通点が高くて、活気があり意思統一が図られたチームであることの「バロメーター」として見られることが多いのです。
 
 しかし、これらの数式が常に当てはまるわけではないのです。
 
 もちろん、顧問の言うことを軽視、または無視するような選手、積極的に参加できない選手であれば返事をしない。
 
 だからこそ、
 
「顧問を軽視・無視している=返事がない」
 
「部活動に活気がない=返事がない」
 
 という数式は成り立つかも知れませんが、その逆は必ずしも「真」ではないのです。
 
 つまり、この「消極的な」数式を「成り立たせないようにするため」に、大きな返事を顧問は求めるのです。
 
 実際、返事だけが大きいのに練習自体は雰囲気が悪かったり、心の中では顧問に反発していても怒られるのがイヤなために大きな返事をしている選手もいる。
 
 中には、監督の前や部活中などには大きな返事をしていても、普段の学校生活では学校の指導に従わなかったり、授業態度が悪かったり、挨拶ができなかったりする選手もいるのですから。
 
 そういうチームに限って、顧問が選手たちの大きな返事を「バロメーター」として見ている。
 
 普段から授業態度が良いか、挨拶はできているか、練習に積極的に取り組んでいるか、という本来の目的を忘れ、大きな返事を出させていれば、いかにもそれらの目的が自動的に達成されるかのような勘違いをしてしまっているのです。
 
 僕も生徒に何かを投げかけたときに「リアクション」は欲しい。
 
 ただ、それは「大きな返事」とは限らないのです。
 
 その直後の「行動」で示してくれれば十分。
 
 もちろん「返事」も「行動」も両方伴っていればいうことないのですが(笑)。
 
 しかし、一度返事を求めるようになると「返事の大きさ」を気にしてしまうようでイヤなのです。
 
 かつての自分が、まさにそうでしたから。
 
 元気な返事が返ってくることそのものが、部活動の雰囲気であったり、自分の言葉が生徒に届いていることの証拠であると、勘違いしていた自分を、今では恥じているのです。
 
 生徒は「返事をしないこと」を怒られると思って返事をしてるだけかもしれません。
 
 生徒はみんなが返事をしているから、伝統だから返事をしているだけかもしれません。
 
 生徒は返事は大きくするものだ、と機械的に反射的に返事をしているだけかもしれません。
 
 決して、返事の大きさは、生徒の「やる気」や「理解度」に比例するとは限らないのです。
 
 だから、僕は強制しない。暗黙のものであろうと、ルール化もしない。
 
 強制しない、そしてルール化しない上での、大きな返事こそ本物だと思うのです。