今回は、ちょっと特殊なフットワークを。
「回り込み」のときのフットワークです。
これが意外と、間違った方法でやっているウィークエンドプレイヤーが多いのです。
たとえば僕は右利きなのですが、コートのかなり左に入ったショットを回り込んで逆サイドに打つのが好きなのです。
これは、バックハンドが苦手だからではありません(笑)。
かつての名プレイヤーだったイワン・レンドルや、アンドレ・アガシが得意としていたプレイなので、高校時代から真似をしている「好きな」プレイなのです。
さらに僕にとっては、一つの武器でもあります。
回り込みフォアでの逆クロスと、そう見せかけておいてのストレート。
これの打ち分けで、ウィナーを狙うのです。
この「回り込み」を打つためには、ちょっとした工夫が必要になります。
これも説明文は、右利きのフォアでの回り込み、と思ってください。
よくある間違いは、小股のサイドステップで、体をスライドさせるように弧を描きながら横移動させてしまうことです。
真正面に来たボールを、1歩だけ動いてフォアにする、という程度ならば、サイドステップでも構いません。
サイドステップで移動したのち、右足に体重をかけ直して「タメ」を作りだす瞬間を必ず作るようにしてください。
ただ「回り込む」というときにはダメです。
大きく移動しなければいけないときにこれをしてしまうと、オープンスタンスでもスクエアスタンスでも打てない。
左足を横方向に着地させながら打つことになるからです。
オープンであれば右足を軸に回らなければならず、スクエアスタンスなら左足を前に踏みださなければならない。
そのどちらもできなくなるのです。
ボールの横に体を移動させることだけを意識ししまうと、このような動きになってしまうので注意してください。
正しいのは「体の反転を優先させる」ことです。
まず左足のつま先を右に向けるようにボールの軌道延長線上の外側、そして前方に踏み出します。
![イメージ 1](https://stat.ameba.jp/user_images/20190603/21/dasadasacoach/0f/59/p/o1040072014422158277.png?caw=800)
![イメージ 2](https://stat.ameba.jp/user_images/20190603/21/dasadasacoach/d4/0b/p/o1040072014422158298.png?caw=800)
左足の着地はつま先の拇指球から。
そして、できるだけ右方向につま先向けて踏み出した左足の拇指球を中心にして、コンパスで円を描くように右足を引き、体を反転させるんです。
![イメージ 3](https://stat.ameba.jp/user_images/20190603/21/dasadasacoach/6e/ab/p/o1040072014422158318.png?caw=800)
このときにテイクバックも完了させてしまいます。
そしてボールとの距離感を合わせて、右足を着地させます。
そこから、改めて、スクエアで打つのであれば左足を前に踏み出しますし、オープンで打つのであれば、左足を横に開きながら打つことになる。
![イメージ 4](https://stat.ameba.jp/user_images/20190603/21/dasadasacoach/c0/3e/p/o1040072014422158334.png?caw=800)
ただ、コンパスで円を描くように右足を引く、というのはあくまでもイメージです。
実際に外から見ると、左足に引きつけるようにして右足を引き、体を反転させるように見えることもあります。
この右足の着地させるところで、ある程度距離感を取ってしまうためです。
大事なのは、右足を強く踏みしめ、上体をしっかり安定させること。
これは生徒にもよく言うことなのですが「回り込む」という打ち方は、本来必要ないのです。
なぜなら、バックハンドをちゃんと練習してきてるのですから。
回り込む、ということはバックハンドよりもフォアに回り込んだほうがちゃんと打てる、と判断したから、ということになる。
ならば、バックハンドで打つよりも、正確にそして強く打てなければ、回り込む意味が無い。
うちの選手でも、わざわざ回り込んでミスをする選手がいるのですが、それはもう、最悪です。
上で説明をしているとおり、回り込むためには、言わば「無駄な」ステップを踏んでいることになります。
歩数で言えば2歩、時間的には3歩以上の無駄なステップです。
たとえば、コートの右側でショットを打った後、左に戻りながら回り込むとなると、一旦、サイドステップで速度を落としながら体を正面に向けたのち、回り込みのステップをする、ということになる。
それだけ「無駄」なことをしているということは、すなわち「リスク」を冒していることに他なりません。
バックハンドで打てば、しっかり余裕を持って足を止めて打つことができるはずなのですから。
しかも、体全体をコートの外側に移動させるわけですから、反対サイドががら空きになる、というリスクさえある。
その1本で、ある程度相手を崩さなければ、オープンスペースに打ち込まれてしまうのです。
ですから、そういう相手を崩せるぐらいの1本でなければ意味がない。
これを分かっていない選手が多い。
安易に「得意だから」「安心だから」という理由で、フォアを選んではいけない。
安易に選ぶ選手に限って、「無駄」なステップを惜しんで、前述したサイドステップでのスライドしかしていない「回り込みもどき」で打とうとして、ミスを重ねたり、弱々しいショットを打つことになるのです。
ただただつなげるタイプの選手で、しかも回り込みの多い選手、というプレイヤーを僕は育てません。
この2つは、実は矛盾をしているからです。
確かに、得意なフォアだけで打てれば、1,2回は勝ち上がることができるかもしれませんが、上位にはいけない。
「相手を脅かす選手」には決してなれないのです。
少なくとも、うちのような弱小チームには、そういう中途半端な選手を作る余裕はありません。
つなげるタイプの選手であれば、徹底的に無駄なステップ、フットワークを省き、フォア・バックともに正確なショットを打てる選手に育てます。
みなさんも、安易に回り込んでいませんか?
【次回へ続く】