さて「ボールに近づく」ためには、できるだけ速く移動をしなければならないのですが、これがまた難しい。 

① ただただ遅い。

 これはもう致命的です(笑)。
 
「自分は瞬発力がないからしょうがない」
 
 とおっしゃる方もいるのですが、ほとんどの人がそうではありません。
 
 多くは、歩幅が小さいのです。
 
 特に、1歩目、2歩目
 
 これはスポーツ科学の研究でも論文が出ているのですが、1歩目の大きさで2歩目のストライドも決まり、3歩目以降の速度に大きく影響を与えることが分かっています
 
 しかもその1歩の小ささは、筋力的な瞬発力ではなく、判断の遅さや距離感の欠如が原因であることが多い。
 
 速く動く、というよりは、大きく「早く」動く、というイメージの方が、移動時間の短縮につながることが多いのです。
 

② 「ちょうど良い感じ」で行こうとする。

「フットワークの原理 その3」でもお話ししましたが、相手がロブを打つと自分まで遅く移動する、また、ポーチに出たときに打った瞬間に足が止まっている、そういう選手がこれに当たります。
 
 ボールを打つ瞬間と移動の終了時間を合わせようとしてしまうのです。
 
 こういう選手に限って、実際には間に合ってなかったりします(笑)。
 
 たとえば相手がロブの場合、こちらは「し」の字型に動いて、一旦ボールの後ろに回り込み、前に踏み込みながら打てば良いのですが、ロブになるとゆーーーーっくり動いて、最短距離での移動だけで済まそうとしたりする。
 
 そうすると、結局タイミングや距離感が合わなくて、腰を曲げて前のめりになったり、「へ」の字型に動いて修正したり、ってことも多くなります。
 
 自分では無駄な動きをしていない省エネのつもりなのでしょうが、それは大きな間違いです。
 
「ちょうど良い感じ」で追いついてショットを打つと言うことは、つまりギリギリで打っている、ということ。
 
 しっかりと待ち構えて前に踏み込みながら打てば、強いショットになって相手を崩せるところを、フットワークを「サボった」ことで強いショット打てず、相手にただ返すだけのショットになってしまい、結果、ラリーが無駄に長くなって、省エネどころではなくなっていることに、自分では全く気づいてないのです。
 
 ショットの選択は、打つ瞬間に、その瞬間の自分が打てる「100%入るショット」の中から、もっとも攻撃的なものを選ぶ、というの基本。
 
「ちょうど良い感じ」でボールに追いつこうとするプレイヤーは、自然と、攻撃的なショットの選択肢が少なくなりますし、無理をして攻撃的なショットを打とうとすれば「100%」ではなくなります。
 
 どんな体勢でも、とりあえず攻撃的なショットを打てるプロのまねをしても、意味がないのです。
 

③ 加速しながら移動をしてしまう。

 これは①と②を合わせたような感じになるのですが、50m走とか100m走とかは速いのに、なかなかうまくボールに追いつけない、っていう人がこれです。
 
 最初の1,2歩目が小さく遅いために、ボールに追いつこうと思うと、3,4歩目から加速をしなければならない。
 
 でもそうすると、位置取りをしたときにちゃんと止まることができず、詰まったような打ち方になってしまう。
 
 また、それが怖くなると、無駄に手前から減速をするようになって、今度はボールに追いつかなくなる、という悪循環に陥ります(笑)。
 
 また後日、ショットを打つときの「止まる技術、戻る技術」についても後述するのですが、加速型の移動をしてしまう人は「止まれない」「もどれない」
 
 そうなると、1本1本の切り返しが遅くなってしまうので、ラリーを続ければ続けるほど、ますます追いつかなくなってくるのです。
 
 移動の基本は「1,2歩目を大きく早く踏み出して、一気に加速」
 
 これを常に頭に入れながら、普段のラリーも行ってみてくださいね。
 
【次回へ続く】