この時期、新入生の部活動が本格化してきます。
部活動、とは言わないまでも、この時期に新しいチャレンジとしてテニスを始める人も多いのではないでしょうか。
うちのチームは田舎の公立高校ですから、新入部員の人数にも、そして経験値にも限界があります。
都会の強豪校であれば、ジュニア時代からしっかりと基礎を学んだ選手が多く入ってきたりするのでしょうが(笑)。
うちのチームの場合、中学時代にソフトテニスをやっていた生徒が入ってきてくれれば、まだ良い方です。
ジュニアでの経験がある生徒など、これまで担当したことがありません(笑)。
つまり、ほぼ全員が、硬式テニス初心者のところからのスタートとなります。
皆さんの中にも、初心者にテニスを教えなければならない状況になった方も多いのではないでしょうか?
初心者にテニスを教えるのはかなり難しいことは、みなさんご理解いただけることと思います(笑)。
うちのチームでは「1年生は走り込みと球拾いだけをする」なんていうことをしません。
僕が、そういう馬鹿げたルールが嫌いだからです。
ボールを使った練習を早く始めた方が、早く上手くなるに決まっているわけで(笑)。
それこそ、初心者ばかりのうちのチームの場合、1年生に球拾いだけをさせる、なんていうことのほうが「贅沢」なのです。
社会人のサークルやテニススクールと違うところは、基礎基本の練習を繰り返しやっても、選手から文句が出ないことです。
まあ、文句が「出ない」だけであって「不満」はあるでしょうがね(笑)。
高いレッスン料を払っているスクールで、ボール遊びだけを何日も延々とさせられて、打ち方を教えてくれない、というのでは、文句が出るでしょうからね。
部活動はそこらへんがない。
毎日練習ができる、というのも大きいと思いますが。
うちのチームでは、最初は素手でのボール遊びから始め、次第にラケットを使ったボール遊びに移行します。
フォアハンドのフォームを教えるところから始める、なんてことはしません。
さらに、最初に教えるのはサーブです。
もちろん基本を「先に始める」という程度で、サーブを完成させるまで他のことは教えない、というのではありません。
まずは「自分の投げたボールを打つ」という感覚をつかんでもらうためです。
自分の投げたボールさえ打てないのに、バウンドしたボールなんて打てるはずありませんからね(笑)。
大事なのは「プロネーション(回内)」ではなく、「腕のひねり」として教えることです。
「回内?内旋?内転?」シリーズでもご説明していますが、サーブに必要なのは腕全体のひねりです。
前腕部の行う「プロネーション」は可動域が90度程度のちいさな動きでしかありません。
重要な「要素」ではありますが、前腕部だけの動きに特化した教え方をすると「振り上げた腕をブレーキをかけて止めて、惰性でラケットが前に出る」というような打ち方になってしまうからです。
さらに次にボレーをやります。
この2つの共通点は、薄く握ったグリップで行うことです。
最初に、フォアハンドストロークでの厚いグリップを覚えてしまうと、これがもうできなくなる。
まずは薄いグリップでもボールが打てるんだ、という感覚を覚えさせます。
ボレーの場合は、手出しで次々と出したボールを、ポーチのように打つところから始めます。
ただただ立ってボレーを練習するよりも、ポーチのように斜めに飛び出ながらボレーをすることで、踏み込み足(右手フォアの場合は左足、右手バックの場合は右足)を徹底させやすいこと。
また、ラケットを振らなくてもボールが飛んでいくことを実感できやすいからです。
このボレーの練習の時には、下の図のような練習も混ぜます。
コーチがネット越しに手出しでボールを出すのですが、プレイヤーは、ワンバウンドしたボールを打ちます。
球出しのボールは低く、プレイヤーがサービスエリアの前半分で打たざるを得ないぐらいの短さで構いません。
プレイヤーが狙うのは、ネット際のすぐ手前。
そこにボールかごなどを目印として置いておいて、かごの中にボールを入れる、というのを目標にすると良いと思います。
ラケットの握り方は、薄く。
ボールをワンバウンドさせますが、ストロークの練習ではありません。
あくまでもボレーの練習だ、ということを強調する必要はあると思います。
これをすると、如実にラケットの大振りがなくなります。
ラケットしいてはストリングスの反発だけでボールが飛んでいってくれることを実感できるからです。
この一番最初のボレー練習の時に注意しなければならないのは、コーチの球出しの強さです。
最初からラケットでの球出しでボレーをするのは難しいので、手出しになるとは思うのですが、あまりにも気を遣いすぎて球出しのボールスピードが緩すぎると、プレイヤーはどうしてもラケットを振ってしまいます。
ショットが弱くてネットになる、というのを無意識に嫌がるからです。
ある程度勢いのある球出しだと、ラケットに当たるだけでボールが飛んでくれるため、そのほうが良いのです。
【次回へ続く】