同じ自重トレーニングやマシン(または鉄アレイなどの簡単な器具)を用いたトレーニングでも、やり方によって鍛えられ方が全く異なり、このトレーニングの方法そのものも、バリエーションを持っていないと、最大筋力はあっても、スピードのない筋肉になってしまいます
 
 特によくありがちなのは、最大筋力を増大させるためだけのトレーニングのみをただただ繰り返すこと。
 
 ジムで行うような一般的なトレーニングでは、同じベンチプレスをするとしても、最大筋力の80%程度の負荷をもちいて、反動を使わずに 持ち上げる練習などをします。
 
 これだと確かに最大筋力はアップするかもしれませんが、この「反動を使わずに持ち上げる」という動作の繰り返しが「筋肉をつけると動きが鈍くなる」原因ともなります。
 
 効率よく筋力をアップさせるトレーニングと、その筋力を瞬発的にそして最大限引き出すトレーニングを並行してやらなければダメなんです。
 
 しかもこれは、筋力トレーニングの後、ただただそのスポーツをする、っていうのだけではダメ。
 
 単純な動きで、筋力をスムーズに引き出すトレーニングをやらないままスポーツを続けると、フォームや体の使い方自体もバラバラになってしまい「筋肉をつけて動きが悪くなった」という典型的な症状になってしまうからです。
 
 まず行うべきなのが「プライオメトリクス・トレーニング」です。
 
 プレイオメトリクス・トレーニングそのものの説明は、以前にも少しだけお話ししていますが、いわゆる「伸張反射」を引き出すためのトレーニングです。
 
 腱や筋肉の弾性そのものを活用した動きも含め、体の各部位の「伸張反射」をスムーズに行えるようにします。
 
 この伸張反射も、筋力の増加によって感覚が変わってきます。
 
 伸張反射は、適度な時間、適度な強さで、適当な長さだけ、筋肉が伸ばされることが必要で、その「適当」の程度は、筋力で大きく変動します。
 
 ですから、プライオメトリクス・トレーニングそのものをちゃんと行うことが必要なんです。
 
 いくつか本も出版されているので、探してみてください。
 
 次に行うのが「反動を活用した運動」です。
 
 先ほど言ったように、筋肥大を目的としたジムでの筋トレでは、反動をつけずに行うことが多い。
 
 効率よく特定の筋肉に負荷をかけるためです。
 
 が、多くのスポーツは伸張反射とともに、体全体の反動を活用して体を動かします
 
 反動を使わないトレーニングだけをしていると、そういう本来の筋肉の使い方ができなくなってしまうのです。
 
 ですので、できるだけ強い負荷で、反動を使って負荷を持ち上げたりして、体全体を連動させる感覚を常に筋肉に覚えさせないといけません。
 
 そして最後に行うのが「速さを強調した運動」
 
 反動を活用した運動のさらに応用なのですが、負荷を軽~中程度に落とし、できるだけ速く、繰り返し動かすことを目的とします。
 
 ただ、あまり負荷が軽すぎると、一部の筋肉だけでも持ち上がってしまうので、ダメ。
 
 たとえばダンベルを持ち上げる運動でも、腕の筋肉だけに頼らず、体全体の反動で素早く持ち上げる感覚をつかむには、ある程度の重さが必要になりますので注意しましょう。
 
 詳しくは参考文献で紹介した「使える筋肉 使えない筋肉」という本をお読みください。
 
 掲載されているトレーニング内容は、マシーンを使ったものも多いのですが、やり方さえしっかりと理解すれば普段のトレーニングにも十分活用できると思います。
 
 これらを組み合わせたトレーニングと、通常の技術練習を繰り返しやっていると、自然と無駄な筋肉なんてつくはずがないのです。
 
 筋肉をつけて動きが鈍くなる、などという考えを持っている人は、これらのトレーニングをしたことのない人たちです。
 
 自分のトレーニング理論の未熟さを棚に上げてしまっている人たち、ということになりますので、我々はぜひしっかりと勉強をしていきましょう。
 
【次回へ続く】