最初に、言っておかなければなりません。
「筋力トレーニングで筋肉をつけると、スポーツをするには邪魔になる」
なんていうのは20年前のトレーニング理論です。
筋力トレーニングを否定するコーチがいたら、完全な時代遅れか、ただのモグリです。
今時、筋力トレーニングをしてないスポーツマンがいたら、それは「スポーツマン」ではありません(笑)。
まず、大前提として体を動かすのは筋肉である以上、筋力がなければスポーツのあらゆる場面でどうにもならない場面が出てくる、ということ。
また「筋力をつける」=「ボディービルダーみたいな体になるとスポーツには不向き」なんていう極端な例を挙げることそのものが、トレーニング理論としてナンセンスであること。
ボディービルダーの方々が聞いたら、鼻で笑います。
「球技のための筋トレじゃないことぐらい、百も承知だよ」と(笑)。
一般のテニスプレイヤーがどんなにがんばって筋力トレーニングをしたところで、あそこまではならない。
特殊な筋力トレーニングをあげつらい、それをスポーツの動きを邪魔するものとして説明していること自体、スポーツ理論を語る資格がありません。
「使える筋肉」をつけるためには、ある程度のトレーニング理論が必要なのです。
自分の知識不足を棚に上げて、筋力トレーニング自体を否定しているようなコーチのいうことは、聞かないようにしましょう。
プロスポーツ選手でも、間違った方法をしているときがあります。
最近の例で言えば、プロ野球読売ジャイアンツの沢村投手です。
一昨年でしたか、球速をあげるため、ということで筋トレをして大失敗。
ただ、その筋力トレーニングの様子を紹介しているスポーツ番組を、たまたま弟と見ていて、
「ああ、これ、駄目なトレーニングだな」
と2人で笑っていました(笑)。
アマチュアである僕たちが分かるほどの駄目トレーニングでしたから、まあ、そらぁ、失敗しますよね(笑)。
もちろん僕は、筋力の増加がそのまま運動能力の向上に直結するなんて言う幻想を持っているわけではありません。
しかし、筋トレ否定論者が思い描くような、筋肉がつきすぎてしなやかな動きができなくなる、なんていうのは20年以上前の古くさいトレーニングしか知らない人の台詞でしかありません。
女子高校生でも、たまにいます。
「筋トレすると、腕とかが太くなるからイヤ」
っていう選手。
大丈夫。
腕が太くなるほどの負荷に耐えられる根性は、君たちにはない(笑)。
特に、アジア系の女性は筋力が非常につきにくいので、よほどのきついトレーニングをしなければ、つけたくてもつかないのですから。
テニスをはじめとした球技の多くが「筋力がなくてもできる」ことは百も承知です。
小さなジュニア選手が、大人顔負けのショットを打っているのを、飽きるほど見てきました。
しかしそれ以上に、そのジュニア選手が成長をして体が大きくなるにつれて、より強いショットを軽く打てるようになっているのは、筋力の向上が大きく寄与しているからです。
そこらへんを、勉強不足の古びたコーチは分かっていない。
小さなジュニア選手には「筋力に頼らない打ち方」をしっかりと教え込み、その上で、テニスに最適な筋力を最適なトレーニングでつけさせることが、圧倒的な技術の向上にもつながるのです。
一定以上のスウィングスピードを出そうとするとき、筋力がなければ持てる力の90%を出さなければいけないところを、筋力があることで60%の力で良くなるからです。
それこそが本来の「脱力」であり、力みの解消にもつながり、フォームの安定にもつながり、そしてプレーの持続性にもつながっていくことになるのです。
【次回へ続く】