教員による「部活動」をどうとらえるか、によっても大きく意見は変わってきます。
部活動を「仕事」としてとらえるか、それとも「ボランティア的な活動」としてとらえるか。
これが最も大きな争点ではないかと思います。
そして問題をより複雑にしているのは、部活動賛成派と反対派のどちらの立場から見ても「仕事」としての側面もあり「ボランティア的な活動」としての側面がある、ということです。
まず、部活動の現状をお話ししながら、その「ボランティア的」な側面と「仕事」としての側面をご説明し、それぞれのとらえ方による弊害も考えていきましょう。
まず、法的に言えば、高校部活動はあくまでも課外活動であり教員がその指導をしなければならない法的な明確な根拠は実はありません。
東京都教育委員会などでの部活動振興に関する答申などには、
「『部活動の指導は、教員の本務ではない。』『部活動指導はボランティアで行っている。』と誤解している人がいる」
とあり、教員の業務の一つとして規定されていますが、ただ規定されているだけで、結局は、
「命令に基づくものではないが、校務分掌を受けた教職員の自発的な意思に基づく職務である」
という曖昧な言い方になってしまっています。
校長からの「委嘱」という形をとってはいますが、それを「熱心にやるかどうか」は強制されるべきものではない、ということです。
ですから、本来は「部活動顧問」そのものを委嘱されることは、校務分掌として「生徒指導担当」っていうのが当たるのと同等だけど、放課後遅くまで、そして土日などに練習したりすることは、「生徒指導を放課後に行った」とか「土日も生徒を呼び出して生徒指導した」っていうと同じだから、それはその教員が自由に勝手にやっただけだろ、ってことです。
しかも、このような規定をしているのは、東京都など、一部の自治体のみ。
そこで問題になるのは、労働基準法などに照らし合わせたときに、どうなるのか、ということです。
自治体にもよりますが、教員はお昼休憩を挟んで1日およそ8時間を勤務時間としています。
もちろん、そんな時間で終わるはずもなく(笑)、多くの教員は朝早くから出勤し、夜遅くに帰宅する、ということになります。
ただ、その勤務形態が特殊なために、各自治体で「教員特別手当」などの名目で、特殊勤務手当が出ており、それによって「時間外業務」への手当を行っていることになっています。
また、土日の練習などについては、これも自治体によりますが、なんらかの形で手当を出していることがほとんど。
また、大会引率などの場合には、代休措置をとるように規定されていることがほとんどなどで、まあ、文部科学省や各自治体の教育委員会のお偉いさん方からしたら、
「ちゃんと措置はとってるんだから、がたがた言うな」
ってところでしょうか(笑)。
まあ、まるっきりの「無償」ってわけではない。
ただ、その「措置」っていうやつがビミョーで。
まず、最初の「教員特別手当」ですが、これは以前お話ししたことがありますが、たとえば僕の場合、月5000円強、という感じです(詳しい金額を書くと自治体がばれるので(笑))。
これが放課後での時間外勤務に当てられるとすると、実働20日として、250~300円。
まあ、帰るのは8時ぐらいですから、1時間100円以下、ってところでしょうか(笑)。
しかもこれは、どんなに遅く残っても定時で帰っても、一律です。
また、土日の練習などについては、多くの自治体が4時間以上で数千円、となっています。
高校生のバイトのほうがいいかも(笑)。
これは自己申告制でございます。
僕の場合は、自宅と勤務先が遠いために、ガソリン代で消えます。
ストリングスの足しにもならない。
さらに、代休措置というやつですが、こんなもの、できるわけがない(笑)。
「権利を行使しないほうが悪い」
っていうので終わりなんですが、こちとら授業をしているわけで、生徒のために一生懸命部活してる人間が、生徒に迷惑をかけて学校休めるわけねえだろ、っていう。
「ちゃんと手当てしてるんだから、文句ねえだろ」
っていうお偉いさんにかみつきたくなるわけですね。
問題なのは、そこから先、です。
次回、ちょっとまとめてみましょう。
【次回へ続く】