前回の続き。
田舎では公立高校のほうが数も多くて、しかも進学実績も上であることが多く、また部活動においても私立校が絶対優位、というわけではありません。
ですから、いわゆる「放課後」や「休業」についての考え方が、都会の教員と田舎の教員ではまるで違います。
週休2日になったころから、田舎の高校では削られた土曜日の授業時間を確保するために、7限授業を当たり前のようにやっていますし、それに加えて土曜日の補習授業もフツーにあります。
ネットやニュースなどでたまに見られる、
「私立は学習指導をするのに、公立は熱心には行わない」
なんていう悪意のある意見は、都会だけの話です。
都会では、いわゆる受験指導さえも、塾や予備校に任せているところが多い。
田舎では、都会のように有名予備校はありませんし、塾もあるにはありますが潤沢にあるわけではなく、通う生徒は限定的です。
だから、いわゆる「受験対策」は学校でやるのが当たり前です。
都会の学校のホームページを見ていると、
「『他校と違って』、うちでは放課後や土曜日、長期休業中にも補習をしますから、それが『強み』です」
みたいなのが宣伝文句になっていますが、田舎の学校では、
「『うちも他と同じように』、放課後や土曜日、長期休業中にも補習をしてるので『負けてません』」
っていう感じになる(笑)。
田舎の高校では、受験指導ができない教員は、少なくとも普通科にはいません。
ニュースなどで、放課後の学校に民間の塾の先生や大学生を呼んで補習をしているのが紹介されていると、正直内心で、
「どんだけ、この学校の教員、能力低いと思われてんだよ」
と思ってしまう。
っていうか、そういう話になる前に、教員がやれよ、と(笑)。
そういうニュースも、田舎者から見ていると、ビックリするものの一つです。
そして、それと似た状況として、田舎では、地域でのスポーツクラブも少なく、指導者も少ない。
いわゆる「廃止論者」が言っているように、欧米型のシステムに切り替えたら、多くの田舎の県では絶対に成り立ちません。
多くの場合、塾にも行かず将来のことをちゃんと考えてないようなやつか、勉強しなくてもいける私立大に入られる金持ちしか、競技スポーツをしなくなってしまいます。
僕は、そんな世の中、まっぴらごめんです。
もともとフィジカルで劣る日本人が、根本的な競技人口がこれ以上減少させたら、今のスポーツレベルが成り立つはずがない。
キツいトレーニングなんてやってるはずのない不良の兄ちゃんが、ナチュラルに筋肉ムキムキだったりするアメリカとはわけが違うんです。
欧米人と同じことやって、勝つわけないでしょ?(笑)。
さらに、我々教師自身もかつては高校生だったわけで、そういう教師自身の学生生活の違いが、即、教員の考え方にも影響を与えることにもなります。
そもそも、高校生に占める「部活動経験者」の数からして、田舎と都会では違う。
たとえば、日本の二大都市、東京と大阪、そしてもっとも高校生人口の少ない鳥取県を比べてみましょう。
まず、総務省のまとめによる、高校生の人口は次の通り。
東京; 315,000人
大阪; 232,000人
鳥取; 16,000人
ケタが違うでしょ?(笑)
鳥取と比べて、東京は実に19.7倍、大阪は14.5倍にもなります。
それに対して、部活動所属人数はどうでしょうか?
今回は、高体連(運動部)に所属している人数だけを算出しました(文化部は、分かりませんでした)。
東京; 90799人
大阪; 52740人
鳥取; 7695人
そう、先ほどと比率が大きく違うのが終わりでしょうか?
鳥取と比べて、東京は11.8倍にしかなりませんし、大阪は6.9倍にしかならない。
それぞれ高校生の割合で比較すると、鳥取では「2.08人に1人の高校生」が運動部に所属しているのに対して、東京は「3.47人に1人の高校生」しか、運動部には所属していない。
大阪にいたっては「4.40人に1人の高校生」しか、運動部には所属していない計算になります。
文化部の生徒が、運動部と同等の数いたとしても、東京では3人に1人が部活動に所属せず、大阪にいたっては半数以上の高校生が部活動をしていない計算になってしまうわけです。
これほどに地域ごとの状況が大きく異なる中、都会の状況を「ネタ元」にして、高校部活動全体の問題をとりあげたふうにしているのが、我慢ならないときがあるんです。
【次回へ続く】