ここで、一つ注意点が。
伊達公子選手や土居美咲選手など、一部の女子選手は、肘を曲げるどころか、最初にラケットを立てた状態で持ち上げます。
これはもう、究極的に腕の動きをシンプル化したモノです(笑)。
横から振り上げるのでもなく、ラケット面を下にして前方に向けてヒジを曲げるのでもなく、最初からラケットを立てて、そのまま図22の状態に倒しこむわけです。
アマチュアの方でも、あらかじめラケットを担いだところから振り上げる練習を繰り返してサーブを習得してこられた方に、多く見られます。
これだとラケットを持ち上げることそのものは「楽」にはなりますが、逆に「伸張反射」を使う機会が全くなく、図22の形を作るにはほとんど随意運動で行わなければいけません。
特に意識をして肘の角度を90°程度に保ち、前腕を回外させておかないと、図20のようになりやすいフォームでもあります。
したがって、自分の体を思い通りに動かす「調節力」が高くないと、かえって手打ちになってしまう。
ですので、そこからのフォワードスウィングも上手くいかない人が多く、伸張反射も使いにくいためにスウィングスピードも遅くなりやすいので、あまりお薦めではありません。
伊達選手などは、ラケットを持ち上げたときに、一度高くヒジを上げて、そこから後ろに倒し混むことで「外旋」の力を強くして伸張反射を得ていますが、アマチュアがそれをやると、ゼロポジションを作るタイミングが難しくなります。
打つことそのものの習得は早くても、みっちりコーチにフォームのチェックをしてもらえる環境に無いと、サーブが伸び悩むことにもなりかねません。
ただ、非力な女性選手にとっては上体のブレを抑えるためには良いテークバックですし、「シンプルだけに注意点も多い」ということだけ理解していただければ、チャレンジする価値はあると思います。
なぜ、この伊達選手のフォームを取り上げたかというと、この伊達選手などのラケットの動きと、今回の僕の動きは全く違うはずなんですが、同一視してしまう人がたまーーにいます。
いや、ほんとに。びっくりするぐらいに(笑)。
決まって、ウッドラケット世代の方ですが。
ウッドラケット世代の方にとっては、エバートのように、横から大きく円を描くようにして腕を引き上げることが理想ですから、サーブを横から見たら、ラケットの軌道は半円を描くようになるはず。
が、図41で見ると、オレンジの矢印が「(弧を描かずに)まっすぐ上に上がっている」ように見えるからです。

これも、いつも言っていることですが、フォームは「総合的に」そして「立体的に」見なければいけない。
このフォームを後ろ方向から見たときのラケット軌道は、図50のようになっています。

ね?直線では上げてないでしょ?(笑)。
昔とは違い、肘を曲げ、外旋によって前腕をあげてるんだから当たり前なのですが、昔のナブラチロワ・タイプやエバート・タイプのフォームのように、肩の力だけで腕全体を上げる方法しか知らない人は、サーブを真横(背中側)から見て、弧を描いてないと、もう短絡的に、
「ラケットを直線的に動かすなんて、動きが悪い証拠だ!」
ってなる(笑)。
視野が狭い人だと、二次元的なものの見方しかできませんから。
なんか昔のカンフー映画の、
「人の体は、直線では無く、円を描くように動くのが理想だ!」
みたいなセリフが独り歩きしている気もしないではないんですが(笑)。
だからこそ、何度も言うように、ビデオ撮影が必要なんです。
テニス雑誌も毎月のように買うと、同じプレイヤーをいろんな方向から撮影した連続写真が見られますしね。
総合的+立体的。
サーブのフォームを考えるときは、目に見えない腕の動きをしっかりと把握しながら、チェックするようにしましょう。
【次回へ続く】