さて、クロスラリーでのダブルスのポジションの続き。
今回は極端に、相手後衛がセンター付近で打つときのことを考えましょう。
まず、注意しなければいけないことが1つ。
相手後衛の打点がフォアハンドにしろ、バックハンドにしろ、図のようなセンター付近に行った場合、相手前衛の位置が通常とは少し変わることが多いことです。
これまでのようなポジショニングをしていては、あまりにも邪魔になってしまうので、少しでも「空気の読める」前衛であれば、普通は外側に移動するはずです。
ただ、こちらの味方前衛のボレーも警戒しないといけませんから、それほど極端に外側に移動するわけにはいかない。
2歩~3歩程度で外側、という感じでしょうか。
ここで、パートナーの後衛bの視界を確保することも考えない、または気を遣いすぎてサイドライン側に5歩も6歩も広がってしまう前衛であれば、そもそも恐るるに足りません(笑)。
さて、それでも、です。
相手前衛が2~3歩、外側に広がったとしても、それでも相手後衛から見えるオープンスペースの狭さが分かるでしょうか?
ですから、クロスラリーの場合、この状態をいかに作られるか、が大きな鍵になります。
味方前衛は、この状況になったらすかさずポーチを狙います。
オープンスペースが狭いだけに、ボールにも届きやすい。
また、わざとさらにセンターよりに立ち、オープンスペースを極端に狭くすることで、前衛Aのバック側(ストレート方向)を苦し紛れに狙わせる、ということも可能です。
さらに、先日pandamochiさんのコメントのように、ロブを打たれることも多いので、ポーチやバック側へ打たせるフェイクを織り交ぜておいて、選択肢として「ロブしかない」と思わせ、スマッシュを狙うのが上級者の常套手段になります。
細かい戦術は、今後、ご紹介するとして。。。
ただ実際には、相手コートのセンターに打ち込むには、相手前衛Bのボレーをかいくぐらなければなりません。
また、センターを狙ったとしても、ロブではダメ。
こちらがロブを打つと、向こうもロブで返してしまうことが多く、いわゆる「ロブ返し」はしっかりと高い軌道であることが多いので、スマッシュも狙えず、ポーチのチャンスもなくなるからです。
これはまた「技術論」のところでもお話しすることになると思いますが、ロブを返すにはロブが楽。
高校女子の試合やウィークエンドプレイヤーでロブ合戦になっているのをよく見かけませんか?
あれです。
それでは、味方前衛Aの出番はなくなる。
ですから、この状況ができるのは、相手前衛が見過ごして「たまたま」っていうときが結構ある。
偶然この状況ができあがることが多いのですから、この状況ができあがった瞬間、すぐに気付くことができれば、大きなチャンスになります。
ただし、ここでも「警戒ゾーン」が。
前回よりも大きくなっています。
図のようにここまでオープンスペースが狭いと、相手後衛がちょっとテニスが分かっている人だと、ポーチを狙われやすい危険なオープンスペースに打ち込むことは避けます。
こちらの味方前衛を超えるストレート方向のロブか、パートナーの相手後衛Bの頭越しの中ロブをクロスに打つか、というのが安全になる。
ですから、味方後衛はしっかりと警戒しないといけません。
ストレート方向のロブは、味方前衛の頭上をしっかりと超えるモノであれば、打たれた後に反応しても十分間に合います。
ですからやはり、味方後衛が気にするのは、クロス方向の中ロブ。
そしてこれも前回と同じで、ポジショニングはあくまでもオープンスペースの中央ライン上に取った上で、意識はしっかりと警戒ゾーンに持っていく。
この警戒ゾーンにもしも返ってきても、相手後衛がセンターにいる間に、クロスへのアングルショットを狙えますし、相手後衛が自分のポジショニングを修正するために高いロブを打ってくれるのであれば、それはそれで余裕が出てきますので、怖くない。
やはりここでも、セオリーを守ることで多少の状況変化にも対応できる、ということを常に頭に入れておくことが大事だと思います。