前回までに、ゴム製のボールを芝生の上で打つようになったことで「イースタン・グリップ」が生まれた、というところまでお話ししました。
今回は、その続き。
もともとは芝生でやることが当たり前であったテニスですが、普及するにしたがい、そうもいかなくなってきます。
芝生の管理には手間も時間もお金もかかります。
どこでも芝生のコートを準備できる、ってわけにはいきません。
特に乾燥地帯の多いアメリカ中部は気候的にも難しい。
そうすると、土のコートでやるしかないわけです。
高校でのサッカーやラグビーが、土のグラウンドで練習せざるを得ないのと似てますね。
芝生と違い、土のコートはボールが高く弾みます。
そんな土のコートでも打ち返せるように進化したのが「ウェスタン・グリップ」(図3)です。
アメリカ中部、とは言っても、開拓時代のアメリカにとっては「西部(ウェスタン)」ですからね。
おそらく、この頃から「ウェスタン(西部)」とそれに相対する意味合いから「イースタン(東部)」というグリップの違いが認識されはじめ、またそれに対応するように、フランス(ヨーロッパ大陸)で誕生した当時からの古い握り方を「コンチネンタル」と呼ぶようになったようです。
ウェスタンは、非常に「厚い」グリップとなります。
一般的にはラケットを地面において、グリップを上から拾うように握った形、という説明が多い。
写真では、それほど極端な握り方にはしていませんし、手首の角度をほぼ同じにしているので、少し角度も甘く、それほど「厚く」なっているようには見えませんが、感覚的には「コンチネンタル」のほぼ直角になっているイメージです。
この握り方でラケット面をボールの打ち出し方向に向けると、腕でラケットを横から押す形になるので、打点を高くしやすくなります。
この「コンチネンタル」「イースタン」「ウェスタン」が、よく本などで紹介されているグリップの握り方になります。
僕自身は「イースタン」と「ウェスタン」の中間である「セミウェスタン」にしていますし、厳密な「境界」があるわけではありません。
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